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来れる
「来れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
来れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
どうか極刑《ごっけい》に遇わせて下さい。(昂然《こうぜん》たる態度)
清水寺に
来れる女の懺悔《ざんげ》
――その紺《こん》の水干《すいかん》を着た男は、わ....
「星座」より 著者:有島武郎
の哀々《あいあい》の状《じょう》諦観視するに堪えず。彼はたして那辺《なへん》より
来れる。思うに村人ことごとく眠り去って、灯影の漏るるところたまたま我が小屋あるの....
「姉川合戦」より 著者:菊池寛
」と云った。つまり、名前の分らない首の鑑定人にされたわけだ。小姓織田|於直の持ち
来れる首、安養寺見て「これは私の弟甚八郎と申すものに候」と云った。また、小姓織田....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
擁するを」だ。「武田の諸勢も之を見て大に仰天し、こは何時の間に斯る大軍が此の地に
来れる。天よりは降りけん地よりは湧き出でけん、誠に天魔の所行なりとさしもに雄る武....
「真田幸村」より 著者:菊池寛
いつぶしてしまい、その間に一家一門|予て用意したる支度甲斐甲斐しく百姓どもの乗り
来れる馬に、いろいろの荷物をつけ、百人ばかりの同勢にて、槍、なぎ刀の鞘をはずし、....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
に侍女皆あり。) 公子。椅子に凭る。――その足許に、美女倒れ伏す――疾く既に帰り
来れる趣。髪すべて乱れ、袂裂け帯崩る。 公子 (玉盞を含みつつ悠然として)故郷は....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
ありて、頻に針を運ばせつ。時にかの蝦蟇法師は、どこを徘徊したりけむ、ふと今ここに
来れるが、早くもお通の姿を見て、眼を細め舌なめずりし、恍惚たるもの久しかりし、乞....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
身を返して遁げ行きぬ。 この時、人声静まりて、橋がかりを摺足して、膏薬練ぞ出で
来れる。その顔は前にわれを引留めて、ここに伴いたるかの女に肖たるに、ふと背後を見....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
に便りがないので、少しも様子が分らない。この手紙の着く頃は、ちょうど足下が面会に
来れる時に当るのだが、今はただそれのみを待っている。 先月の末であったか、湯に....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
は意気地なきようなれど、心細さは次第々々にましてついに堪らず、おりから面前に歩み
来れる船長に向っていきなりに問えり、「めざす絶島にはいつ達すべきや」と、もとより....
「取舵」より 著者:泉鏡花
を竦め、肩を窄めて、 「はい、はい、はい。」 中 甲板より帰
来れる一個の学生は、室に入るよりその溽熱に辟易して、 「こりゃ劇い!」と眉を顰め....
「二・二六事件に就て」より 著者:河合栄治郎
るは、果たして誰の責任であろうか。事件は突如として今日現れたのではなくて、由って
来れる所遠きに在る。満洲事変以来|擡頭し
来れるファッシズムに対して、若し〈軍部〉....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
るべき兆なり。 小笹ざわざわと音したれば、ふと頭を擡げて見ぬ。 やや光の増し
来れる半輪の月を背に、黒き姿して薪をば小脇にかかえ、崖よりぬッくと出でて、薄原に....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
この日のごときを知らなかった。三面|艶書の記者の言、何ぞ、それしかく詩調を帯びて
来れるや。 惘然として耳を傾くれば、金之助はその筋|疼む、左の二の腕を撫でつつ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
え、病室に行きて見るに、この不幸なる病人は気息|奄々として死したるごとく、泰助の
来れるをも知らざりけるが、時々、「赤城家の秘密……怨めしき得三……恋しき下枝、懐....