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来診
「来診〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
来診の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
す。」と、すぐに背広の腰を擡《もた》げた。
慎太郎は父や義兄と一しょに、博士に
来診《らいしん》の礼を述べた。が、その間《あいだ》も失望の色が彼自身の顔には歴々....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
のきざしたのはこの時である。常子は夫を見つめたまま、震《ふる》える声に山井博士の
来診《らいしん》を請うことを勧《すす》め出した。しかし彼は熱心に細引を脚へからげ....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
れに、うっかりした動作でいためてはなりませんから、ダンスもしないことにします。御
来診のお礼には、もう、資産の許すだけのことは必ずいたしますから……」 「いや、手....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
吐く暇なく、息つまりそうにて胸がごとごといいてそのまま血をのみこみたり。村上先生
来診、応急措置をいたされ、咳とめ注射のおかげにて陶然となりぬ。この喀血は三日間相....
「痴人の復讐」より 著者:小酒井不木
劣え、ことに二三日前から、右眼が激烈に痛み出して、同時に急に視力が減退したので外
来診察所を訪ねたのでした。そこで「緑内障」の疑ありとして、入院治療を勧められ私が....
「縮図」より 著者:徳田秋声
細っていたが、病気は急性の肺炎に、腹膜と腎臓の併発症があり、梅村医師が懇意ずくで
来診を求めた帝大のM―老博士も首を捻ったくらいであったが、不断から銀子に好感をも....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
た。そして日の暮近くになってから、我慢しきれなくなった葉子の希望で、K――博士に
来診を乞うことにした。 縫紋の羽織にごわごわした袴で、博士がやって来たのは、間....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
」 「今夜?」とさすがに弓之進も胆を冷やさざるを得なかった。 「いずれ後刻、再度
来診」 こう云って北山の帰った後は火の消えたように寂しくなった。 二人の中の....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
話をかけなさい。わたし同情しに行ってあげるといってくれた。私はまったく何々博士の
来診よりもこの方が本当の効験があるだろうと考えた。 しかしながらその後私の心臓....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
が、貧乏人にはきわめて冷淡だという人のうわさを思いだした、それと同時にこの深夜に
来診を請うと、ずいぶん少なからぬお礼をださねばなるまいが、それもできずにむやみと....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
とやっと根こそぎに室を離れた。……扉を後ざまに突放せば、ここが当|館の関門、
来診者の出入口で、建附に気を注けてあるそうで、刎返って、ズーンと閉る。 と突出....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
るも少しも差支無きとて、出発を促せり。予が発途後は何等の異状も無し。倉次氏は時々
来診せられたり。然るに十二日の朝は、例により臥床を放れて便所に行きて、帰りて座に....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
物であった。 「大学頭林家より、参りましたものにござりまするが、なにとぞ先生のご
来診を得たく、折り入ってお願い申し上げまする」 これが使者の口上であった。もう....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
先だちて会見せんと岡に申し遣るとあり、四日には、官邸に行き、皇儲の思召により岡の
来診の時会談して診察に立ち会うともあります。人目に附くような容体におなりだったの....
「夢幻泡影」より 著者:外村繁
てみたりするのだった。 しかし、妻はやはり昏昏と眠っていた。留守中に小野医師の
来診があった由を長男が告げた。 「父さんが外出などしては、いけませんて」 「へえ....