東向き[語句情報] » 東向き

「東向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

東向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
はさすがに葉子のものであるだけ、どことなく女性的な軟《やわ》らか味を持っていた。東向きの腰高窓《こしだかまど》には、もう冬といっていい十一月末の日が熱のない強い....
ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
あった。二階はどうなっているか知らないが、わたしの記憶しているところでは、一度も東向きの窓を明けたことはなかった。北隣りには雇人の口入屋《くちいれや》があった。....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
そこは三畳と横六畳のふた間で、座敷の床の間には杜若《かきつばた》が生けてあった。東向きの縁側の欄干を越えて、雨の大川が煙《けむ》って見えた。その六畳に坐って、彼....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
あった。二階はどうなっているか知らないが、わたしの記憶しているところでは、一度も東向きの窓を明けたことはなかった。北隣りには雇い人の口入屋があった。どういうわけ....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
食し終った。腹ごしらえも充分である。食事がすむと牀几に腰をかけて小鼓を取り寄せ、東向きになって謡曲『敦盛』をうたい出した。この『敦盛』は信長の常に好んで謡った処....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
長くかかって見るべきものではなくて、一目に見るべきものであったのだ。 店座敷は東向きで、戸の外には半蔵の好きな松の樹もあった。新しい青い部屋の畳は、鶯でもなき....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
を書くと、雪の結晶が星のように一面に光っている。賽の河原から高倉の裾を廻るころ、東向きの雪がスキーにつき始めたので十五分ごとに先頭をかえて進んだ。高倉の裾をまわ....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
だとしたら第二の天性ともなる事がある。うっかりと乗り込んだ乗り物である。西向きか東向きか知らずに乗込んだ汽車である。気がついた時、汽車は地獄へ向って走っている。....
静岡地震被害見学記」より 著者:寺田寅彦
分が細長い帯状になってしばらく続くのである。どの家もどの家もみんな同じように大体東向きに傾きまたずれているのを見ると揺れ方が簡単であった事が分る。関東地震などで....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
、書院番頭と致す」 小石川区大和町の北野神社の境内の石の階段を上り切った左に、東向きに立てられた小さな祠が、地震前まであった筈だ。これぞ貧乏神の祠であって、建....
」より 著者:岡本綺堂
かにも有難そうに答えた。 ゆうべの木枯しの名残りがまだ幾らか吹き続けているが、東向きの縁先には朝日の光りが流れ込んで、庭の冬木立ちに小鳥のさえずる声がきこえた....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
、硝子窓に吹きつける。沈欝な秋の日に乗客はほんの数えるばかり、出札の河合は徒然に東向きの淡暗い電信取扱口から覗いては、例の子守女を相手に聞きぐるしい、恥かしいこ....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
どの前山を踏まえて、どっしりと丸く大きく構えている。一体、浅間山は南向きなのか、東向きなのか、前掛山は、山の中腹から南方へ向かって掛かって見える。 浅間山は、....
雪の一日」より 著者:岡本綺堂
わせて、熱い紅茶を一杯|啜り終ると、再び二階へあがって書斎に閉じ籠ってしまった。東向きの肱かけ窓は硝子戸になっているので、居ながらにして往来の電車路の一部が見え....
死児を産む」より 著者:葛西善蔵
だが、前の下宿の裏側と三間とは隔っていない壁板に西日が射して、それが自分の部屋の東向きの窓障子の磨りガラスに明るく映って、やはり日増に和らいでくる気候を思わせる....