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松葉杖
「松葉杖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
松葉杖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
ている広告を一枚貰って行く。
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縦に見た前の往来。
松葉杖をついた癈兵《はいへい》が一人ゆっくりと向うへ歩いて行《ゆ》く。癈兵はいつ....
「人間失格」より 著者:太宰治
、不幸な人は、ひとの不幸にも敏感なものなのだから、と思った時、ふと、その奥さんが
松葉杖《まつばづえ》をついて危かしく立っているのに気がつきました。駈け寄りたい思....
「駈落」より 著者:佐左木俊郎
なす》をもいで、馬小屋の前に出て来た。春からの僂麻質斯《リュウマチス》で、左には
松葉杖をついていた。 「おう、おう、重かったべさ。二人めえもあっちゃ。」 蒼《....
「東京だより」より 著者:太宰治
した。そうして私は、愕然としました。あの事務所の少女が、みなからひとりおくれて、
松葉杖をついて歩いて来るのです。見ているうちに、私の眼が熱くなって来ました。美し....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
資か、幼時からの都会の良家的「お仕込み」で、習性となって居る氏の動作が、このほか
松葉杖つく画家K氏を、まめまめしく面倒見る氏の様子を、何事の美挙ぞと、私は眺めた....
「土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
たあとで頸をすくめるように、そのたび彼等は、頸をすくめた。 松ツァンは、二本の
松葉杖を投げ棄ててタガネと槌を取った。彼は、立って仕事が出来なかった。で、しゃが....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
た。そのときそばを、顔を緑色のスカーフでぐるぐる巻きにした目のすごい怪しい男が、
松葉杖にすがりながら、通りすぎた。 自称金鉱主 スミス老人は、おしゃべり....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
る。しかし不思議にも智的に見える。学殖は相当深いらしい。筒袖を着て伊賀袴を穿き、
松葉杖をついている。年は二十七、八でもあろう。 桔梗様は昆虫館主人の娘、吉次は....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
とから、この部屋を出ていった顔の青い若者があった。彼は、すこぶる長身であったが、
松葉杖をついていた。右足が、またのあたりから足首まで、板片をあて、繃帯で、ぐるぐ....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
なことを考えながら廊下を歩いていると、後から呼ぶ者があった。それは余人ではなく、
松葉杖をついた醤だった。 「おや、お前、足をやられたか」 「はあ、柊の樹から落ち....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
ね、いつになったら、そんなおてんばやまるの?」 「年をとって、身体がこわばって、
松葉杖をつくるようになるまでやめないわ。あたしを大人あつかいにするのいやよ。おね....
「赤いくつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
でした。 お寺の戸口のところに、めずらしいながいひげをはやした年よりの兵隊が、
松葉杖にすがって立っていました。そのひげは白いというより赤いほうで、この老兵はほ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
いてから三年になるが、一歩も室外へでたことがない。もっとも、歩けないせいもある。
松葉杖にすがれば歩けるが、大小便もオマルで間に合わせ、一歩も室外へ出ようとしない....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ているのであった。 茅野雄と浪江とは隙かして見た。 顔に白布をかけている者、
松葉杖を脇の下へかっの老人――いずれも人の世の惨苦者であったが、信仰を失ってはい....
「嘘の効用」より 著者:末弘厳太郎
ため、「真実の解決方法いまだ備わらざるに先立って擬制を捨てよというのは、あたかも
松葉杖をついた跛行者に向かって杖を棄てよというにひとしい」といい、また「もしも世....