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「松虫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

松虫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
人は云った。「そりゃあ値段も廉いし、虫の仲間では一番下等なものかも知れませんが、松虫や鈴虫より何となく江戸らしい感じのする奴ですよ。往来をあるいていても、どこか....
思い出の記」より 著者:小泉節子
が何か投げつけるように飛んで来て当るのです。随分ひどい虫でした。膝の近くに来て、松虫が鳴いたりするのです。下の雲助のような男の声が、たまに聞えます。はしご段がギ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
た押し合って通る。その混雑のあいだに一軒の虫売りが市松障子の家台をおろしている。松虫、鈴虫、草雲雀のたぐいが掛行燈の下に声をそろえて鳴く。ガチャガチャ虫がひとき....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
直江|蔵人の隠遁所である。 今、廃園に佇みながら若い男女が話している。蔵人の娘松虫と、松虫にとって従兄にあたる直江主水氏康とである。 「……どんなにお待ちした....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
香三味線をひく。 萩、桔梗、なかに玉章しのばせて、 月は野末に、草のつゆ。 君を松虫夜ごとにすだく。 ふけゆく空や雁の声。 恋はこうした…… 善鸞 もうよい。も....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
それを厭がって早く逃がしてしまえといった。 父はかなりの虫好きで、秋になると、松虫、鈴虫、といったものを買って来て、上等の籠へ入れて楽しんでいたが、どうも私の....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
。何んだかわからなかったが、寝ていると、その品物の中から、虫が鳴き出した、鈴虫と松虫と朝鈴と云う奴が同時に声をそろえて鳴き出したのには驚いた。同室の人達が大喜び....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
て、コトコトと嘴を鳴らし、短夜の明けた広縁には、ぞろぞろ夥しい、褐色の黒いのと、松虫鈴虫のようなのが、うようよして、ざっと障子へ駆上って消えましたが、西瓜の核が....
星女郎」より 著者:泉鏡花
なく、三人が一ツずつで空になると、その底に、何にもない漆の中へ、一ツ、銀で置いた松虫がスーイと髯を立てた、羽のひだも風を誘って、今にもりんりんと鳴出しそうで、余....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
手品の種明し、行灯の中がぐるぐる廻るのは走馬灯で、虫売の屋台の赤い行灯にも鈴虫、松虫、くつわ虫の絵が描かれ、虫売りの隣の蜜垂らし屋では蜜を掛けた祇園だんごを売っ....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
ら街道を左へ曲がり、さらに左へ空地を横切った。月見草の花が咲いていて、早生まれの松虫が鳴いていた。少し行くと松林であり、松林の中に家があった。みよし屋の賃貸しの....
柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
なった。将軍|家斉の眼に止まり、局へ納れられることになった。秋海棠が後苑に咲き、松虫が籠の中で歌う季節、七夕月のある日のこと、葵紋付の女駕籠で、お杉は千代田城へ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
情景|品に適し、景に応じ、時々の心のままに、水草、藻の花、薄の葉、桔梗の花。鈴虫松虫もちょっと留まろうし、ささ蟹も遊ばせる。あるいは単に署名する。客はいずれも大....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
……たとえばだな、鳩の目と、鶏の目と、使う鏨が違うかね。―― ――はあ、鈴虫と松虫とでも違いますわ。―― 一座が二十六七人、揃って顔を見合わせると、それまで....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
沿うて下流へと歩を運んだ。道もせに咲き残っている紅の竹石花、純白の野菊、うす紫の松虫草などとりどりに美しい。上湯島の少し手前から河原に下りる、山崩れの跡が幾カ所....