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「板壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

板壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
して、手に触れるにまかせて原稿紙をかき集めた。そしてそれを大事に小脇にかかえて、板壁によりそいながら入口へとさぐり寄った。 部屋の中では純次が狂暴に泣きわめい....
家霊」より 著者:岡本かの子
が多い。 湯気や煙で煤けたまわりを雇人の手が届く背丈けだけ雑巾をかけると見え、板壁の下から半分ほど銅のように赭《あか》く光っている。それから上、天井へかけては....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ごとく軽くなり、月光のごとく形なく、里見亭の裏二階へ忍んで行きたかった。しかし、板壁に映った自分の黒い影が、どうも、邪魔になってたまらない。 その影を取り去っ....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
ーッと白い噴泉を真白な裸身に浴びた。 「あの――お姉さま」と千鳥がトントンと間の板壁を叩いた。 「お姉さまが黙っていると、なんだか、独ぽっちでいるようで怖いのよ....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
次伝いにさっきの場所まで引返して来た女は、そこの街燈に照された薄暗の中で、倉庫の板壁へ宮守のようにへばりついたまま、血にまみれた安吉の無残な姿をみつけたのだった....
雛妓」より 著者:岡本かの子
で姿かたちをわたくしの見検めるままに曝していたが、夏のたそがれ前の斜陽が小学校の板壁に当って、その屈折した光線が、この世のものならずフォーカスされて窓より入り、....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
たい霧のように降り下って来る。二人の前方|遙か向うには、円形の赭い光の中に絶えず板壁の羽目が現われて、法水の持つ懐中電燈が目まぐるしい旋回を続けていた。それがよ....
超人間X号」より 著者:海野十三
かったことは、絞首台の下に、死刑囚の死体がおりてくを地下室があるが、その地下室の板壁《いたかべ》の一部がぶらぶらしており、怪しく思ってその板壁のうしろをのぞいて....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
れで、僕はあれが気になるんだよ。ホラ、像の頭から右斜かい上に五寸程の所と、左右の板壁に二つと――それを直線で結び付けると恰度屍体の頸筋辺で結び付くんだが――節穴....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
見えない。 彼は棒立ちに突立った。それから仔細に辺りを見た。 16 左と右は板壁で、出入口らしいものは一つもなく。ただ正面に古びた家が、戸口を向けて立ってい....
鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
した。つまり鴉片を煉り出したのだ。 寝台は二人寝になっているのだ。寝台の三方は板壁で、一方だけが開いていて、そこには垂布がかけてあるのだ。すなわち一つの独立し....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
た。 ある夜空想が湧き上って来た。折悪しく鼻紙を持っていなかった。一軒の商店の板壁へ、万年筆で書き付けた。そうして翌朝出かけて行き、写し取って来たような事さえ....
」より 著者:カフカフランツ
でしまった。台所にいてさえ、おかみの溜息をもらす声が聞こえてきた。おかみは、薄い板壁で台所と隔てられた、窓のない仕切り部屋に横になっていた。そこには、大きなダブ....
審判」より 著者:カフカフランツ
いなかった。まるで船酔いのようだった。難航中の船に乗っているように思われた。水が板壁の上に落ちかかり、廊下の奥からはかぶさる水のような轟々という音が聞え、廊下は....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
え、それはもう。」と流石に肩をすぼめたものである。 見まわすと、窓の上、四方の板壁には、フランクリン、リンコルン、ビスマークだ、西郷南洲、そうした世界的英雄の....