果てし[語句情報] » 果てし

「果てし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

果てしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
客には構わずに甲板を横ぎって船べりの手欄《てすり》によりかかりながら、波また波と果てしもなく連なる水の堆積《たいせき》をはるばるとながめやった。折り重なった鈍色....
或る女」より 著者:有島武郎
わからないような暗い闇《やみ》が、葉子をただ一人《ひとり》まん中に据えておいて、果てしなくそのまわりを包もうと静かに静かに近づきつつある。葉子は少しもそんな事を....
星座」より 著者:有島武郎
は言っておきたいことが後から後からと無限にあるように感じられた。どこまで行っても果てしがあろうとは思われなかった。園は少し自分に惘《あき》れてまた黙ってしまった....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
か。考えると何もかも届かないことばかりで、それが残念でならない。 妻の繰り言は果てしがない。自分もなぜ早く池を埋めなかったか、取り返しのつかぬあやまちであった....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
うがゆくまいが、ただ民子に逢いさえせばよいのだ。今一目逢いたかった……次から次と果てしなく思いは溢れてくる。しかし母にそういうことを言えば、今度は僕が母を殺す様....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
が、いつのまにか人々の会話からは遠のいて、物思わしげに黙りこくってしまう。そして果てしもなく回想の迷路をたどって歩く。 それはある年の三月に、君が遭遇した苦い....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
を取る手もいと疾く、 されどなお無慚の心はなかりき。恥知る心、規律と正義の 失せ果てしは四度目の世となりしとき、 そは鉄の時代、嘘と僞りの奴とて 掠め奪わん欲望....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
さん、もうわたし少しくたぶれたわ。そこらで一休みしましょうか」 お千代の暢気は果てしがない。おとよの心は一足も早く妙泉寺へいってみたいのだ。 「でもお千代さん....
転機」より 著者:伊藤野枝
い寂しさをもって、絶望的なその村民達の惨めな生活を想像させるのであった。私の心は果てしもなく拡がる想像の中にすべてを忘れて没頭していた。 「おい、何をそんなに考....
海の使者」より 著者:泉鏡花
町を土手へ出て、永代へ引っ返したことがある。それも秋で、土手を通ったのは黄昏時、果てしのない一面の蘆原は、ただ見る水のない雲で、対方は雲のない海である。路には処....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
の御心に合わぬ事は誓ってせまじ。」 と手強き謝絶に取附く島なく、老媼は太く困じ果てしが、何思いけむ小膝を拍ち、「すべて一心|固りたるほど、強く恐しき者はなきが....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
である。 「老人、唯今の心地を申さば、炎天に頭を曝し、可恐い雲を一方の空に視て、果てしもない、この野原を、足を焦し、手を焼いて、徘徊い歩行くと同然でござる。時に....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
の隙き間から少しずつ永劫の恐怖を吐き出しているようでもあった。二つの影のように、果てしもない空間と底知れぬ暗黒とが現われて、太陽を消し、足もとから大地を奪って、....
狂女」より 著者:秋田滋
そして僕は窓から彼等の歩いてゆく姿を眺めていた。 普魯西兵の列は、蜿蜒として、果てしもなく続いた。どれを見てもみな同じように、例の普魯西の兵隊独特の操り人形よ....
西航日録」より 著者:井上円了
轟々たる音とともにはるかな太平洋に向かった。天のかなたは雲がとざし、すべてが広く果てしなく、帆柱の上を吹く風にはおのずから清涼の気がある。そのうえ山の影すら詩人....