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果てる
「果てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
果てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
申さず、明日《あす》が日にも諸天童子の現罰を蒙って、白癩《びゃくらい》の身となり
果てるぞよ。」と、叱りつけたではございませんか。この勢いに気を呑まれて、私は元よ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
そら恐しい。今までの己が一夜の中《うち》に失われて、明日《あす》からは人殺になり
果てるのだと思うと、こうしていても、体が震えて来る。この両の手が血で赤くなった時....
「或る女」より 著者:有島武郎
たほどの反応《こたえ》もなかった。どうすれば人の心というものはこんなにまで変わり
果てるものだろう。葉子は定子をあわれむよりも、自分の心をあわれむために涙ぐんでし....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
運んで行った。妻はおずおずと戸を閉《し》めて戸外に立っていた、赤坊の泣くのも忘れ
果てるほどに気を転倒させて。
声をかけたのは三十前後の、眼の鋭い、口髭《くちひ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
を立てているという、まことに愧《は》ずかしい次第さ。しかし、私だってまさか馬方で
果てる了簡《りょうけん》でもない、目的も希望《のぞみ》もあるのだけれど、ままにな....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
で差支《さしつか》えがない、丸木だけれどもおそろしく太いので、もっともこれを渡り
果てるとたちまち流《ながれ》の音が耳に激《げき》した、それまでにはよほどの間《あ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の影か、星が閃く。 我が酒井と主税の姿は、この広小路の二点となって、浅草橋を渡
果てると、富貴竈が巨人のごとく、仁丹が城のごとく、相対して角を仕切った、横町へ、....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
のは何処にもいない。陽の照る時には、彼の忠実な伴侶はその影であるだろう。空が曇り
果てる時には、そして夜には、伴侶たるべき彼の影もない。その時彼は独り彼の衷にのみ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
が煩いから、月は可し、灯を消して戸をしめて。―― と框にずッと雨戸を閉める。閉め
果てると、戸の鍵がガチリと下りる。やがて、納戸の燈、はっと消ゆ。 ※出る化ものの....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
戯に掻き廻す。……やどかりも、うようよいる。が、真夏などは暫時の汐の絶間にも乾き
果てる、壁のように固まり着いて、稲妻の亀裂が入る。さっと一汐、田越川へ上げて来る....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
、太刀をかざして、頤から頭なりに、首を一つぐるりと振って、交る交るに緩く舞う。舞
果てると鼻の尖に指を立てて臨兵闘者云々と九字を切る。一体、悪魔を払う趣意だと云う....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
る。 ――遠くに居る家主が、かつて適切なる提案をした。曰く、これでは地味が荒れ
果てる、無代で広い背戸を皆借そうから、胡瓜なり、茄子なり、そのかわり、実のない南....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
――そんなものが急に思い出された。すると私の生涯の懐かしい幾つかの小説が私をいつ
果てるとも知れぬものの云いようのない憂愁の中に沈めてしまった。この小説中の女主人....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
存生の頃は、毎年、正月の元日には雪の中を草鞋穿でそこに詣ずるのに供をした。参詣が
果てると雑煮を祝って、すぐにお正月が来るのであったが、これはいつまでも大晦日で、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
だ、と呼吸の下でいって、いい続けて、時々|歯噛をしていた少年は、耳を澄して、聞き
果てると、しばらくうっとりして、早や死の色の宿ったる蒼白な面を和げながら、手真似....