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果汁
「果汁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
果汁の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「時間」より 著者:横光利一
前の快楽ほど奥床しくも華かで玲瓏としているものはないであろう。まるで心は水々しい
果汁を舐めるがように感極まってむせび出すのだから、われを忘れるなどという物優しい....
「愛と美について」より 著者:太宰治
の陰鬱の梅雨が過ぎると、夏がやって来るのである。みんな客間に集って、母は、林檎の
果汁をこしらえて、五人の子供に飲ませている。末弟ひとり、特別に大きいコップで飲ん....
「ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
や、手描きのポスターが貼ってある。 この頃また建てましをやった「鋤」の食堂だ。
果汁液《クワス》だの一杯二カペイキの茶、スイローク(牛乳製品)なんぞを売ってる売....
「道標」より 著者:宮本百合子
伸子の正餐のためにルケアーノフのところから鶏のスープと鶏のひき肉の料理とキセリ(
果汁で味をつけた薄いジェリーのようなもの)を運ばせる許可を得た。それは、アルミニ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。食事はスープおもゆ五十グラムずつ位のところ。きょうは第三日目で玉子のキミ一つに
果汁アイスクリームをたべてよい由。 それでも、私にとって生涯の難物だったつきも....
「烏の北斗七星」より 著者:宮沢賢治
尉はみんなをいたわってあるきました。 夜がすっかり明けました。 桃《もも》の
果汁《しる》のような陽《ひ》の光は、まず山の雪にいっぱいに注ぎ、それからだんだん....
「南京虫殺人事件」より 著者:坂口安吾
品は、甚しく意外で、また重大な事実を物語るものであった。 押入の中に、外国製の
果汁のカンヅメがいくつもあった。その空カンも一ツあった。ところが、その空カンには....
「帯広まで」より 著者:林芙美子
っては取りつくしまがなかった。枕元の塵紙の上には紫色に腫れたような桃の食いかけが
果汁を滴たらせて置いてあった。九太は立ちあがると、押入れの前へ行って、「俺の洋傘....
「落日の光景」より 著者:外村繁
て、それぞれの管の中に溶液を注入しているのである。その溶液はスープでもあろうか。
果汁でもあろうか。つまり食道癌の患者達の夕食が始まっているのではないか。 一瞬....