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果肉
「果肉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
果肉の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「川」より 著者:新美南吉
、その賞品に注意をむけた。 つややかな皮をうすくむくと、すぐ水分の多いきび色の
果肉があらわれてきそうな、形のよいかきである。みなはそれを、百匁《ひゃくめ》がき....
「河明り」より 著者:岡本かの子
のマングローブの下で、果ものを主食の朝餐が進行した。レモンの汁をかけたパパイヤの
果肉は、乳の香がやや酸※かさと匂いがあった。指ほどの長さでまるまると肥っている、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
が食べた洋橙の中に、青酸加里が仕込まれてあったのだよ。現に、口腔の中に残っている
果肉の噛滓からも、多量の物が発見されているし、何より不思議な事には、それが、最初....
「ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
めに、国営、集団農場で行われた牧畜は僅か一パーセント増しているに過ぎない。その結
果肉類の欠乏が来ているのだ。 ソヴェト同盟内の集団農場の集団牧畜を急テンポに振....
「道標」より 著者:宮本百合子
かのように思い出された。そして、自分にも水っぽくって、くされがはいるかもしれない
果肉がくっついている。山上元がそれを見ていないとは伸子には考えられなかった。
....
「郷土的味覚」より 著者:寺田寅彦
の、黒檀で彫刻した鬼の面とでも云ったような感じのする外殻を噛み破ると中には真白な
果肉があって、その周囲にはほのかな紫色がにじんでいたように覚えている。 公園と....
「山吹の花」より 著者:豊島与志雄
と紫とに染め分けた小さな花を一杯つけていたが、既に果実を結んでるのもあって、紅い
果肉も見えていた。その最も美しそうな一枝を、田宮は折り取って、室に帰った。女中を....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
右手でナイフを使っていた。が、それにも不拘、夫人の指間に盛上って来るあの乳白色の
果肉の上には、現場で発見したものと全く同じ様な左巻の皮が嘲ける様にとぐろを巻いて....
「新西遊記」より 著者:久生十蘭
開始する。 侍医長がいちいち入念に毒見して医官に返す。まず檳榔子とタマリンドの
果肉の煎汁に鼈甲の粉末をまぜた下剤を三カデックス(約三合)ほど飲ませ、吐剤として....
「アケビ」より 著者:牧野富太郎
付く。都会の人々には珍しいのでおみやげに買っていく。 紫の皮の中に軟らかい白い
果肉があって甘く佳い味である。だが肉中にたくさんな黒い種子があって、食う時それが....
「アフリカの文化」より 著者:和辻哲郎
した果物の表面を飾っている柔らかい色づいた表皮のようなものである。その下に美味な
果肉がある。すなわち民族全体は、最も小さい子供から最も年長の老人に至るまで、その....
「三国志」より 著者:吉川英治
「そんな筈はない。どれどれ」 と、自身で柑子を取って割ってみせた。芳香の高い
果肉は彼の掌から甘い雫をこぼした。 「大王。まあこの柑子を一つ、召上がってごらん....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
乞いは」 「怪態なことを仰せられますな?」 左近は、白い眉に皺をよせた。葡萄の
果肉みたいな眸でじっと見られると、正季には、ちと恐かった。腕白時代から、家来では....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
ちを遂げても、それは往々、不幸な蝕みを芯に持ちながら、美事な表皮だけを上に持った
果肉のような結果を持つのであった。 ほんとうの幸福とは、多くの場合、他の者の幸....