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枠
「枠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
枠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
景にした、大きい一枚の画《え》のように見える。巌乗《がんじょう》な槲《かし》の窓
枠《まどわく》が、ちょうど額縁《がくぶち》を嵌《は》めたように見える。その画のま....
「彼」より 著者:芥川竜之介
た、と同時に大喀血《だいかっけつ》をし、すぐに死んだとか云うことだった。僕は黒い
枠《わく》のついた一枚の葉書を眺めた時、悲しさよりもむしろはかなさを感じた。
「....
「Mensura Zoili」より 著者:芥川竜之介
ろくしょういろ》を、どこまでも拡げているが、それと灰色の雲との一つになる所が、窓
枠の円形を、さっきから色々な弦《げん》に、切って見せている。その中に、空と同じ色....
「路上」より 著者:芥川竜之介
にはいると、思いがけずそこには大井篤夫《おおいあつお》が、マントの肘《ひじ》を窓
枠に靠《もた》せながら、手巾《ハンケチ》を振っているのが見えた。俊助は思わず足を....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
」と云うように腰をかがめ、砂の上の何かを拾い上げた。それは瀝青《チャン》らしい黒
枠の中に横文字を並べた木札だった。
「何だい、それは? Sr. H. Tsuji....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
胆な歌声が耳に入った。クララは首をあげて好奇の眼を見張った。両肱は自分の部屋の窓
枠に、両膝は使いなれた樫の長椅子の上に乗っていた。彼女の髪は童女の習慣どおり、侍....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
れで。――夜目には縁も欄干も物色われず、ただその映出した処だけは、たとえば行燈の
枠の剥げたのが、朱塗であろう……と思われるほど定かに分る。……そこが仄明いだけ、....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
る姿、鼓の緒の欄干に、あるいは立ち、あるいは坐て、手に手に五色の絹糸を巻きたる糸
枠に、金色銀色の細き棹を通し、糸を松杉の高き梢を潜らして、釣の姿す。 女童三人は....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
独楽を廻す。手にものなき一人、一方に向い、凧の糸を手繰る真似して笑う。 画工 (
枠張のまま、絹地の画を、やけに紐からげにして、薄汚れたる背広の背に負い、初冬、枯....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
の看板をお目に懸ける。……」 「まったく、懸念無量じゃよ。」と、当御堂の住職も、
枠眼鏡を揺ぶらるる。 講親が、 「欣八、抜かるな。」 「合点だ。」 ....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
記念碑を建てる事になったんです。」 「ははあ、和尚さん、娑婆気だな、人寄せに、黒
枠で……と身を投げた人だから、薄彩色水絵具の立看板。」 「黙って。……いいえ、お....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
かった。 が、やがて発車の笛が鳴った。私はかすかな心の寛ぎを感じながら、後の窓
枠へ頭をもたせて、眼の前の停車場がずるずると後ずさりを始めるのを待つともなく待ち....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
雪の風情でなく、花の色でなく、お杉がさした本斑布の櫛でもない。濃いお納戸地に柳立
枠の、小紋縮緬の羽織を着て、下着は知らず、黒繻子の襟をかけた縞縮緬の着物という、....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
」 「まあ、小父さん、お寒そうね。」 と雪代が店へ出ると、紺地に薄お納戸の柳立
枠の羽織を、ト、白い手で、踞った八郎の痩せた背中へ、ぞろりと掛けた。帯腰のしなや....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
にごともなくしてその機糸が一時に断ちきられしことこれなり。第三は、あるとき機糸の
枠に巻きてありしを、あたかも歯にて噛み切りたるがごとくに、切りみだしたりしことあ....