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柑
「柑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
った。殊に近頃は見越しの松に雪よけの縄がかかったり、玄関の前に敷いた枯れ松葉に藪
柑子《やぶこうじ》の実が赤らんだり、一層風流に見えるのだった。のみならずこの家の....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
から内供の眼には、紺の水干《すいかん》も白の帷子《かたびら》もはいらない。まして
柑子色《こうじいろ》の帽子や、椎鈍《しいにび》の法衣《ころも》なぞは、見慣れてい....
「冬」より 著者:芥川竜之介
を二枚重ねた、博奕《ばくち》打ちらしい男などは新聞一つ読もうともせず、ゆっくり蜜
柑《みかん》ばかり食いつづけていた。
しかし大勢の面会人も看守の呼び出しに来る....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
白壁や瓦屋根の光っているだけにきのうほど憂鬱《ゆううつ》には見えなかった。まして
柑類《かんるい》の木の茂った、石垣の長い三角洲はところどころに小ぢんまりした西洋....
「葱」より 著者:芥川竜之介
》、小松菜《こまつな》、独活《うど》、蓮根《れんこん》、里芋、林檎《りんご》、蜜
柑の類が堆《うずたか》く店に積み上げてある。その八百屋の前を通った時、お君さんの....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
から麦畑をぐるぐる廻る、鍵《かぎ》の手に大根畑《だいこんばたけ》を走り抜ける、蜜
柑山《みかんやま》をまっ直《すぐ》に駈《か》け下《お》りる、――とうとうしまいに....
「老年」より 著者:芥川竜之介
、三味線の声さえ聞えず戸外《そと》も内外《うち》もしんとなった。きこえるのは、薮
柑子《やぶこうじ》の紅い実をうずめる雪の音、雪の上にふる雪の音、八つ手の葉をすべ....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
後《あと》を追って来ました。庫裡には釜をかけた囲炉裡《いろり》の側に、勇之助が蜜
柑《みかん》を剥《む》いている。――その姿を一目見るが早いか、女は何の取付《とっ....
「或る女」より 著者:有島武郎
くしているようだった。口びるは上下ともからからになって内紫《うちむらさき》という
柑類《かんるい》の実をむいて天日《てんぴ》に干したようにかわいていた。それは見る....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
一人が千年に一人ぐらい子供を産むことになる。これは接木や挿木をくりかえして来た蜜
柑には種子がなくなると同じである。早く死ぬから頻繁に子供を産むが、不老不死になる....
「橋」より 著者:池谷信三郎
襟巻の端で、何んの気なしにSと大きく頭文字を拭きとったら、ひょっこり靄の中から蜜
柑とポンカンが現われた。女の笑顔が蜜
柑の後ろで拗ねていた。彼が硝子の戸を押しては....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
った。 五六町余り押し続けたら、線路はもう一度急勾配になった。其処には両側の蜜
柑畑に、黄色い実がいくつも日を受けている。 「登り路の方が好い、何時までも押させ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
して、勢よく左右に振ったと思うと、忽ち心を躍らすばかり暖な日の色に染まっている蜜
柑が凡そ五つ六つ、汽車を見送った子供たちの上へばらばらと空から降って来た。私は思....
「島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
人などが車座になって話していた。あの座敷は善く言えば蕭散としている。お茶うけの蜜
柑も太だ小さい。僕は殊にこの蜜
柑にアララギらしい親しみを感じた。(尤も胃酸過多症....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ていた。山の奥の幽なる中に、五色の蔦を見る思があります。ここに、生りもの、栗、蜜
柑、柿、柘榴などと、蕪、人参、花を添えた蔓の藤豆、小さな西瓜、紫の茄子。色がいい....