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柔か
「柔か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柔かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
。エルムの巨木がその邸の上にひろびろと枝をひろげ、その根かたには泉があって、甘い
柔かい水がごぼごぼと湧きだして、小さな樽形の井戸からあふれ、きらきら光りながら草....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
同意を表しました。 二人はその晩、拾った赤児を替り番子に抱いて寝ました。赤児の
柔かい肌が触れると、二人とも何んとも言い表わしがたい快感を感じました。夜になって....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
穴を、ただ小さな穴のみをうがち、生命をつくりあげている血が流れるのを眺め、それが
柔かな、冷たい、動かない、考えることもしない一塊りの肉にほかならないと思うのは、....
「墓」より 著者:秋田滋
くしは考えたのであります。彼女の肉体、あのみずみずしていた、温ッたかな、あんなに
柔かく、あんなに白くあんなに美しかった肉体が、地下に埋められた棺の底で腐ってゆく....
「初雪」より 著者:秋田滋
に蔽われて、死んだように寂然している。彼女はいきなりその素足を氷のように冷たい、
柔かな粉雪のなかへ一歩踏み込だ。と、傷のように痛く疼く冷感が、心臓のところまで上....
「犬養君に就いて」より 著者:芥川竜之介
念すぎる為に暗示する力を欠き易い事であろう。 それから又犬養君の作品はどれも皆
柔かに美しいものである。こう云う
柔かい美しさは一寸他の作家達には発見出来ない。僕....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
、彼女の蒲団の上へ来ては、よくごろりと横になった。――ちょうどそれと同じように、
柔かな重みがかかったのだった。お蓮はすぐに枕《まくら》から、そっと頭《かしら》を....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
主人公はチエホフのそれよりも哀婉なること、なお日本の刻み煙草のロシアの紙巻よりも
柔かなるが如し。のみならず作中の風景さえ、久保田君の筆に上るものは常に瀟洒たる淡....
「小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
から、まっすぐに育って来たものである。 小杉氏の画は洋画も南画も、同じように物
柔かである。が、決して軽快ではない。何時も妙に寂しそうな、薄ら寒い影が纏わってい....
「少年」より 著者:芥川竜之介
の白壁の上へちょうど差渡《さしわた》し三尺ばかりの光りの円を描《えが》いている。
柔かに黄ばんだ光りの円はなるほど月に似ているかも知れない。が、白壁の蜘蛛《くも》....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
けた竹籠もそこへ捨てて、危く鳩を捕えようとした。鳩はまた一しきり飛び立ちながら、
柔かい羽根を雪のように紛々とあたりへ撒《ま》き散らした。彼はそれを見るが早いか、....
「春」より 著者:芥川竜之介
失《う》せていた。あるいは消え失せてしまわないまでも、二年前には見られなかった、
柔かい明るさを呼吸していた。殊に広子は正面《しょうめん》にある一枚の油画に珍らし....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ものの二|丁ばかりも進んだ所が姫の御修行の場所で、床一面に何やらふわっとした、
柔かい敷物が敷きつめられて居り、そして正面の棚見たいにできた凹所が神床で、一つの....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
夢で見たとおりのルフィノ寺院が暁闇の中に厳かな姿を見せていた。クララは扉をあけて
柔かい春の空気を快く吸い入れた。やがてポルタ・カプチイニの方にかすかな東明の光が....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
アウガスタスも最初は、友達が自分を見ているのかと思った程に、ラザルスの眼は実に
柔かで、温良で、たましいを蕩かすようにも感じられたのである。その眼には恐怖など宿....