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柔らかい
「柔らかい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柔らかいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
け放されなかったら、そうして「お祖父様《じいさま》ただいま。」という声とともに、
柔らかい小さな手が、彼の頸へ抱きつかなかったら、彼はおそらくこの憂欝《ゆううつ》....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
こっちへいらっしゃいな。
――まだ、そこにいらっしゃるの。
Bの声 お前の手は
柔らかいね。
――いつでも可哀がって頂戴な。
――今夜は外《よそ》へいらしっ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
抽斗を開けましたがな。 ――水天宮様のをお目に掛けましょう―― そう云って、
柔らかい膝の衣摺れの音がしますと、燐寸を※と摺った。」 「はあ、」 と欣八は、....
「想い出」より 著者:上村松園
という先生が校長で、生徒は百人余り、組織は東西南北の四宗に別れていまして、東宗は
柔らかい四条派で望月玉泉先生、西宗は西洋画で田村宗立先生、南宗は巨勢小石先生、北....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
ほど、その通りだ。どうしたんだろう。おや、前に何かあるぞ。手にさわるものがある。
柔らかいものだ。しかしさっぱり目に見えない」 山岸中尉はついに手さぐりで、怪物....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
握りしめて不審気であった。 「先生は、幅の広い帯をしめて居られる。太腰のまわり、
柔らかい膝、そして先生の頭には、豊かな黒髪がある!」 曽我貞一の言葉につれて、....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
番を命ぜられたので、暗い横町に立って居た。預った黒猫をしっかりと胸にかかえ、その
柔らかい毛並を撫でていると、どこかに彼女の移香を感じたので、彼は思わずミミーを抱....
「獄中記」より 著者:大杉栄
をさす。口に入れる。歯が、ちょうど羽布団の上へでも横になった時のように、気持よく
柔らかいものの中にうまると同時に、強烈な甘い汁が舌のさきへほとばしるように注ぐ。....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
どこへでも行こう。ほかに何にも芸はないが、六カ国ばかりの欧州語なら、堅いものでも
柔らかいものでも何でも御意のままに翻訳する、というような触れで売り物にでも出よう....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
重要な役をつとめている。盆や茶托の打ち合う微妙な音にも、ねんごろにもてなす婦人の
柔らかい絹ずれの音にも、また、クリームや砂糖を勧められたり断わったりする普通の問....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
うね。」と、わたしは云った。 「そうかも知れません。」 僧は彼に同情するような
柔らかい口振りであった。たとえ不忠者にもせよ、不義者にもあれ、縁あって我が寺内に....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
かれらの仕業でなく、眼にみえない手が私にさわるのであった。またある時には、冷たい
柔らかい手がわたしの喉をなでるように感じたこともあった。 ここで恐れをいだいて....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
新しい花の環を頂いたリザヴェッタが附き添って出て来た。馬車のドアがしまって、車は
柔らかい雪の上を静かに馳せ去ると、門番は玄関のドアをしめて、窓は暗くなった。 ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ちには、ベアトリーチェと彼自身とのあいだの密接な、かつ特殊な関係について、悲しい
柔らかい感情が湧いてきた。いわば、かれらはまったく孤独の状態に置かれたようなもの....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
にも思われてきた。まぼろしの女はとうとうその美しい眼をわたしの上にそそいだ。その
柔らかい眼の光りがわたしの心臓にしみとおってきた。 「あなたは可愛らしい鏡をお持....