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柘植
「柘植〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
柘植の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。墓は思うにもまして哀れなものであった。片手でも押し倒せそうな小さい仮家で、柊や
柘植などの下枝に掩われながら、南向きに寂しく立っていた。秋の虫は墓にのぼって頻り....
「山県有朋の靴」より 著者:佐々木味津三
わせて、水馬のときにも同じ二組で轡を並べて、旗本|柔弱なりと一緒に叱られた仲間の
柘植新兵衛だった。まもなくその非難に憤起して、甲府までわざわざ負けにいって、追い....
「洋灯」より 著者:横光利一
、雪の降る夜、紫色の縮緬のお高祖頭巾を冠った母につれられて、東京から伊賀の山中の
柘植という田舎町へ帰ったときであった。そこは伯母の家で、竹筒を立てた先端に、ニッ....
「旅愁」より 著者:横光利一
た俄に感じた自分の生を噛みしめ直して味わい愉しんでいるようにも見え、矢代もひとり
柘植の緑の葉に見入った。小粒な固い葉の中から小さい新芽の出ている柔かさが、彼の視....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
炬燵に居て、退屈を輪に吹く煙草のけぶり、ぼんやりとして其辺見回せば端なく眼につく
柘植のさし櫛。さては花漬売が心づかず落し行しかと手に取るとたん、早や其人床しく、....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
の葉からは、風もないのに雨のしずくがはらはらとこぼれかかった。石灯籠の下にある草
柘植を少し離れて、名も知らない小さな菌が二かたまり生えているのが眼についた。昨日....
「それに偽りがないならば」より 著者:宮本百合子
う言葉を執ようにくりかえした。治安維持法時代から特高として働いてきたツゲ事務官(
柘植)は、尾崎秀実の例をひいて「彼は遂に刑場の露と消えた。彼は真実に生きていた。....
「夜の靴」より 著者:横光利一
理由だよ。芭蕉さん、きっと自分のそこがいやだったんじゃないかなア。あの人は伊賀の
柘植の人だから、おれと同じ村だ。それだから、おれにはあの人の心持ちがよく分る。小....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
数年来、帝国学士院の補助をうけている。東北大の畑井教授のナマズと地電流の研究や、
柘植秀臣氏のの『神経液体説』に関する研究なども亦注目すべきだ。八木誠成氏の『超音....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ら》になるという際どい仕事なんだから、その旨も充分言いふくめて、加納商会と石田と
柘植に集って貰い、北の新地の「水月」で極く内々で下見をさせたの。……ところが、何....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
ために机を買ってやったりできるから、和尚もよろこぶだろうと思った。和尚は、俗姓を
柘植《つげ》という人であることを、お高は聞いたことがあった。
お高はふとそれを....
「はなしの話」より 著者:岡本綺堂
った。ややもすれば歯痛に苦められて、上下に幾枚の義歯を嵌め込んでいた。その義歯は
柘植の木で作られていたように記憶している。私は父の系統をひいて、子供の時から齲歯....
「秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
。墓は思うにもまして哀れなものであった。片手でも押し倒せそうな小さい仮家で、柊や
柘植などの下枝に掩われながら、南向きに寂しく立っていた。秋の虫は墓にのぼって頻り....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
びない妙手であった。 椿岳は余り旅行しなかった。晩年大河内子爵のお伴をして俗に
柘植黙で通ってる千家の茶人と、同気相求める三人の変物|揃いで東海道を膝栗毛の気散....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
おれが通るとおれの前へずかずか来て、名を訊くから、おれは伊賀者の渡辺半蔵の甥で、
柘植三之丞という者だと答えると、急に詫びて、イヤ失礼いたした、鈴鹿谷の辻風黄平の....