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根から
「根から〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
根からの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
の》めいたり、――そんな事も見たように覚えています。が、長い廻廊《かいろう》の屋
根から、人気《ひとけ》のない庭へ飛び下りると、たちまち四五人の警護《けいご》の侍....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
泣いている声だったではないか? (三度《みたび》、長き沈黙)
おれはやっと杉の
根から、疲れ果てた体を起した。おれの前には妻が落した、小刀《さすが》が一つ光って....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
あろう事かお敏を湯巻《ゆまき》一つにして、両手を後へ括《くく》り上げた上、髪さえ
根から引きほどいて、電燈を消したあの部屋のまん中に、北へ向って坐らせるのだそうで....
「百合」より 著者:芥川竜之介
指を揃《そろ》えて見せた。
「二本芽のね?」
良平は思わず目を見張った。一つの
根から芽の二本出た、その二本芽の百合と云うやつは容易に見つからない物だったのであ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
った。仁右衛門の淋しい小屋からはそれでもやがて白い炊煙がかすかに漏れはじめた。屋
根からともなく囲いからともなく湯気のように漏れた。
朝食をすますと夫婦は十年も....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
のあわれや、繰返して、杖に縋った手を置替え、 「煎じて飲むはまだるこいで、早や、
根からかぶりつきたいように思うがい。」 と切なそうに顔を獅噛める。 「焦らっし....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
完全にせよ、不完全にせよ、甦生していたろうか。復活していたろうか。神によって罪の
根から切り放された約束を与えられたろうか。 神の懐に飛び入ったと空想した瞬間か....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ss)、測定する(messen)及び太陰(Mond)の観念を表わす言葉は同一の語
根からできている。梵語で太陰をマース(〔Ma^s〕)というが、これは計量者、計量....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
は言った。 「岡沙魚ってなんだろう」と私が聞いた。 「陸に棲む沙魚なんです。蘆の
根から這い上がって、其処らへ樹上りをする……性が魚だからね、あまり高くは不可ませ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
は何じゃい、どえらい目に逢わせくさった。」 と饂飩屋は坂塀はずれに、空屋の大屋
根から空を仰いで、茫然する。 美しい女と若い紳士の、並んで立った姿が動いて、両....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
れた柳の夕霜に、赤い鼻を、薄ぼんやりと、提灯のごとくぶら下げて立っていたのは、屋
根から落ちたか、杢若どの。……親は子に、杢介とも杢蔵とも名づけはしない。待て、御....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
んが、刎橋を渡り、露地を抜けて、食べものを運ぶ例で、門へは一廻り面倒だと、裏の垣
根から、「伊作、伊作」――店の都合で夜のふける事がある……「伊作、伊作」――いや....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
たりも横に、だるそうに手を組んだ、これで釣合いを取るのであろう。ただそのままでは
根から崩れて、海の方へ横倒れにならねばならぬ。 肩と首とで、うそうそと、斜めに....
「旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
い黒ひげをつかむがはやいか、剱をひきぬいて、そのにくらしい顔をした首を、肩のつけ
根からずばりと切りおとしました。まるで、相手にこちらの顔をみるすきさえあたえなか....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ると、その樹のあたりから路が坂に低くなる、両方は、飛々|差覗く、小屋、藁屋を、屋
根から埋むばかり底広がりに奥を蔽うて、見尽されない桜であった。 余りの思いがけ....