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根越し
「根越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
根越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
血が沸き上がって頭がぐらぐらして来た。彼女は前後の分別もなしに家を駈け出して、垣
根越しに内の様子を覗きに来たのであった。 「そりゃあ飛んでもない間違いだ」 十....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
、こう荒いんだろう。男だか女だか解りゃしない」 こう高瀬は濡縁のところから、垣
根越しに屋外に立っているお島に言った。 「大工さんの家の娘とはもう遊ばせないッて....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ぎた。灯に照らされた人のすがたは主人の伝兵衛と伜の伝四郎とであることを、澹山は垣
根越しにはっきり認めた。 「碁を打ちに行ったのではない。親子連れで夜詣りかな」と....
「家」より 著者:島崎藤村
した。 「まあ、正太さん、お上んなすって下さい」 こう叔母に言われて、正太は垣
根越しに家の内を覗いて見た。 「叔父さんは?」 「一寸歩いて来るなんて、大屋さん....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
。その威勢に恐れたからであった。 芝の火事は大きくなったと見え、火の手が町の屋
根越しに、天を焼いて真っ赤に見えた。 窩人の一団は走って行った。室町を経て日本....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
いほど横暴に刺戟する。立たなければよくも見分けられぬが恐らくベッシェール夫人の屋
根越しのエッフェル塔も装飾していることだろう。 新吉は此の装飾の下に雑沓の中で....
「ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
つの踏台の上に立ち上り、もう一つの踏台は手に持ちました。そして、手の方の踏台を屋
根越しに高く持ち上げ、第一の内苑と第二の内苑の間にある、幅八フィートの空地へ、そ....
「小公女」より 著者:菊池寛
、あなたはお嬢様のお附きになるはずです。今夜は、これからここにあるものを、また屋
根越しに持って帰らなければなりません。」 輝かしい顔で、こういい終りますと、ラ....
「女人創造」より 著者:太宰治
である。謂わば、なつかしい現実である。 江戸の小咄にも、あるではないか。朝、垣
根越しにとなりの庭を覗き見していたら、寝巻姿のご新造が出て来て、庭の草花を眺め、....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
うまくゆけば)五分間で明りをつけることが出来たからである。 「トム!」と馬車の屋
根越しに低い声で。 「おうい、ジョー。」 「あの伝言を聞いたかい?」 「聞いたよ....
「善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
を出て、自分から火を焚いて湯を沸す、下女を労わる情からである。 やがて朝陽が家
根越しにカッとばかりに射して来た。 「まあ内の人はどうしたんだろう。朝寝坊にも際....
「地上」より 著者:島田清次郎
は深井に尋ねたが、深井も知らなかった。深井の家を訪ねてもみたが、かつて見出した垣
根越しの隣家の庭に和歌子の姿を見ることはなかった。 「隠したのかな※」彼は和歌子....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
に住った頃、近所に常磐津を上手に語る家があった。二葉亭は毎晩その刻限を覘っては垣
根越しに聞きに行った。艶ッぽい節廻しの身に沁み入るようなのに聞惚れて、為永の中本....
「はつ恋」より 著者:神西清
す」 父は立ち止ったが、急に踵でくるりと回ると、とって返して行った。そして、垣
根越しにジナイーダと肩を並べる辺まで行くと、父は丁寧に彼女に会釈をした。彼女も会....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
姿を隠して、白味を帯びた瑠璃色の空に薔薇色の光がにじむように拡がるのを仙人山の尾
根越しに眺めた時には、昨日劒岳の頂上に登って二年越しの宿望を充たした平静な心にも....