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根際
「根際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
根際の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ところへは、私、二度とはまいりますまいが……」 その槲《かしわ》の木は、片側の
根際まで剥ぎ取られていて、露出した肌が、なんとなく不気味な生々しい赤色で、それが....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
小野の下宿へ向う。一挺は孤堂先生の家に去る。五十分ほど後《おく》れて、玄関の松の
根際に梶棒《かじぼう》を上げた一挺は、黒い幌《ほろ》を卸《おろ》したまま、甲野《....
「嬌娜」より 著者:田中貢太郎
けるように揉んでいると、腫物は高く一寸ばかりも金釧の中へもりあがってきた。そして
根際になったところも尽く内へ入って、前の盆のように濶かった腫物とは思われなかった....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
古いお馴染みの町である。この区域の空気は一体に明るいような気がする。お作は※の垣
根際を行いている幼稚園の生徒の姿にも、一種のなつかしさを覚えた。ここの桜の散るこ....
「黴」より 著者:徳田秋声
へ入ると、そこには綺麗な簾のかかった縁の檐に、岐阜提灯などが点されて、青い竹の垣
根際には萩の軟かい枝が、友染模様のように撓んでいた。しばらく来ぬまに、庭の花園も....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
「直きだ、そうれ、お前が行く先に、猫柳がこんもりあんべい。」 「おお、」 「その
根際だあ。帽子のふちも、ぐったり、と草臥れた形での、そこに、」 と云った人声に....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
歩の人通、行交い、立換って賑かな明い中に、榎の梢は蓬々としてもの寂しく、風が渡る
根際に、何者かこれ店を拡げて、薄暗く控えた商人あり。 ともすると、ここへ、痩枯....
「二十三番地」より 著者:宮本百合子
。 「兄さんの。 「兄さんのって、どれ? 小さい娘は、すかして見ようとして垣
根際によって行ったけれ共分らなかったと見えて、 「黄色い様な肥ったの。 兄さ....
「盗難」より 著者:宮本百合子
あ。 一向跡がありませんなあ。 巡査は、毛虫だらけの雑木の中をくぐって、垣
根際まで行ったり、裏門の扉によじ登ったりして見た。 「このトタン塀はのぼれませ....
「紫大納言」より 著者:坂口安吾
ことでしたね、などと、通人のものとも見えぬ香しからぬことを言って、満悦だった。垣
根際の叢に、腰の下を露に濡らしてしまうことなど、気にかけたこともないたちだった。....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
近い窓の幕を片よせると、朝日の光が軒を蔽《おお》う椎《しい》の茂みにさしこみ、垣
根際に立っている柿の木の、取残された柿の実を一層《ひとしお》色濃く照している。箒....