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桃源
「桃源〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
桃源の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
下六十七度の地表とはちがい和《なご》やかな春風が吹き、とうてい想像もできぬような
桃源境があるのではないか※ いや、木戸はそれを見たのではないか※ と、最後に木戸....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
。 余りの嬉しさに庄三郎は物を云うことさえ出来なかった。ただ四辺を見廻わした。
桃源、巫山、蓬莱洲、いわゆる世界の別天地とはこんなものではあるまいか? こう思わ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
のに、ぜひにも名人でなくばという名ざし状が、なまめかしい朱房の文筥とともに、江戸
桃源の春風に乗って舞い込みました。しかもそれが、またよりによって三月の三日、すな....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
、気候から云えば三月のようだ。いい天気だ、あたり明るく、小鳥が八方で啼いている。
桃源境! 別天地! だが不具者《かたわもの》の社会でもあった。 と云うのはそう....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
の人生修行である)と、考えていた彼の眼に、たちまち華やかな一つの幻覚が浮び、遠く
桃源の里を望み見たような心のときめきを感じはじめ、生活が急に生々となって来たので....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
慾を少なくして、足るを知れと。つまり浮世と逆行するのだ。その逆行が徹底した時に、
桃源郷が現じ出してくる。……誰も彼も
桃源郷を求めていながら、誰も彼もが
桃源郷を断....
「雪の宿り」より 著者:神西清
、心ある学僧の一慶様の講莚に列なるものが多々ございました。その中には相国寺のあの
桃源|瑞仙さまの、まだお若い姿も見えましたが、この方は程朱の学問とやらの方では、....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
森と静かである。誰も咎める者もない。 「寂々タル孤鶯ハ杏園ニ啼キ、寥々タル一犬ハ
桃源ニ吠ユ――」 自分はその時劉長卿の詩を何気なく中音に吟じながら奥へ奥へと歩....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
時代としては珍らしい計画が立てられた。 その最終の目的地点は東北の秘境、本朝の
桃源にも比べられている三面谷であった。 三面谷は越後の村上領では有るのだけれど....
「雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
から上流は、都会人が釣り旅に入るは甚だまれである。中野村、上野村と行けば渓流魚の
桃源郷だ。流れの落ち込みに、自然のままに山女魚や岩魚が戯れている。人ずれしない魚....
「採峰徘菌愚」より 著者:佐藤垢石
とになったが、近年蜂の子の佳味が次第に人々の理解をうけて需要が増したから、地蜂の
桃源郷といわれた浅間山麓へ、蜂の子の缶詰会社ができた。 だが、缶詰製造がはげし....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
かな景色である。秋のことであったから花はないが、桃の咲く時分だったらさしずめ武陵
桃源といった別天地はこれであろうとおもわれた。 それから船をすすめてゆく。藪が....
「中支遊記」より 著者:上村松園
々とうって丹頂の鶴が舞っている。澄み透るような静かな陽射し、このさまをみては武陵
桃源という文字もありそうなことだと思うし、白髪の仙人が瑟をもった童児を従えている....
「「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
るお伽噺の様なことが、ここにも少からず語られているのである。そんなかけ離れた武陵
桃源境であるが為に、ここばかりはかつて天然痘もはいった事がない。近ごろ種痘を強行....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
セーに参詣し、それから少しく後戻りをしてドーラギリーの谷間に在る仙人の国すなわち
桃源郷という所はどんな所であるか、そこまで案内者を連れて行って見ようと思う。それ....