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桃色
「桃色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
桃色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
子は眼だけ笑いながら、何本か手紙を男へ渡した。と同時に湯帷子《ゆかた》の胸から、
桃色の封筒《ふうとう》にはいっている、小さい手紙を抜いて見せた。
「今日は私にも....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
もと》に僕の滞在費を計算し出した。僕の目の前には扇が一本、二尺に足りない机の外へ
桃色の流蘇《ふさ》を垂らしていた。この扇は僕のここへ来る前に誰《たれ》かの置き忘....
「葱」より 著者:芥川竜之介
ある夜、お君さんはひとり机に向って、ほとんど一番鶏《いちばんどり》が啼く頃まで、
桃色をしたレタア・ペエパアにせっせとペンを走らせ続けた。が、その書き上げた手紙の....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
青黄ろく澄み渡った夕空の地平近い所に、一つ浮いた旗雲には、入り日の
桃色が静かに照り映《は》えていた。山の手町の秋のはじめ。
ひた急ぎに急ぐ彼には....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
瓶へ唇を押附けるので、井筒の紅梅は葉になっても、時々|花片が浮ぶのであった。直に
桃色の襷を出して、袂を投げて潜らした。惜気の無い二の腕あたり、柳の絮の散るよと見....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
三日たった後、A中尉はガンルウムのテエブルに女名前の手紙に目を通していた。手紙は
桃色の書簡箋に覚束ないペンの字を並べたものだった。彼は一通り読んでしまうと、一本....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
、看板の裲襠を着けている女が腰をかけている、その傍には三尺ばかりの竹の棒の先きが
桃色の絹で包んであるのがある。「ヤレ突けそれ突け」というのは、その棒で突けという....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
、百枚|一巻九千連。鮟鱇五十袋。虎河豚一頭。大の鮹一番。さて、別にまた、月の灘の
桃色の枝珊瑚一株、丈八尺。(この分、手にて仕方す)周囲三抱の分にござりまして。え....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ら、白鷺の鶏冠のように、川面へほんのり白く、すいすいと出て咲いていら、昼間見ると
桃色の優しい花だ、はて、蓬でなしよ。」 「石竹だっぺい。」 「撫子の一種です、常....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
としの浅い箱火鉢の前に、二十六七の、色白で、ぽっとりした……生際はちっと薄いが、
桃色の手柄の丸髷で、何だか、はれぼったい、瞼をほんのりと、ほかほかする小春日の日....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
するりと膝をずらして、後へ身を引き、座蒲団の外へ手の指を反して支くと、膝を辷った
桃色の絹のはんけちが、褄の折端へはらりと溢れた。 「厭だよ、串戯ではないよ、穿物....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
がまた違って、亀の背にでも乗りそうな、中ごろへ、早|薄靄が掛った上から、白衣のが
桃色の、水色のが白の手巾を、二人で、小さく振ったのを、自分は胴の間に、半ば袖をつ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
年の頃十五|位に見える、一人の可愛らしい小娘がそこへ現われました。服装は筒袖式の
桃色の衣服、頭髪を左右に分けて、背部の方でくるくるとまるめて居るところは、何う見....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
。 見すぼらしい、が、色の白い学生は、高い方の松の根に一人居た。 見ても、薄
桃色に、また青く透明る、冷い、甘い露の垂りそうな瓜に対して、もの欲げに思われるの....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
弥生の頃は、金石街道のこの判官石の処から、ここばかりから、ほとんど仙境のように、
桃色の雲、一刷け、桜のたなびくのが見えると、土地で言います。――町のその山の手が....