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「桜桃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

桜桃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
桜桃」より 著者:太宰治
ぜん泊る」 子供より親が大事、と思いたい。子供よりも、その親のほうが弱いのだ。桜桃が出た。 私の家では、子供たちに、ぜいたくなものを食べさせない。子供たちは....
フォスフォレッスセンス」より 著者:太宰治
楽しい期待を持っているのである。 「しばらく逢わなかったけど、どうしたの?」 「桜桃《おうとう》を取りに行っていたの。」 「冬でも桜桃があるの?」 「スウィス。....
第五氷河期」より 著者:海野十三
ろ、異変は、そろそろ現われかけたといっていい。梅の実は、いっこうに大きくならず、桜桃も、またいっこうに実を結ばなかった。 やがて梅雨の季節となったが、雨はすこ....
人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
ぬこ》と、なぜ呼んでくださらないの!」 「劉夫人」僕は、顔をはじめて曲げて彼女の桜桃《さくらんぼ》のように上気した、まんまるな顔を一瞥《いちべつ》した。「僕は、....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
細君を仮りに――そうだネB子夫人と名付けて置こう。色が牛乳のように白く、可愛いい桜桃のように弾力のある下唇をもっていて、すこし近視らしいが円らな眼には湿ったよう....
もの思う葦」より 著者:太宰治
ふさと額に垂らしている。伏目につつましく控えている碧い神経質な鋭い目も、官能的な桜桃色の唇も相当なものである。肌理の細かい女のような皮膚の下から綺麗な血の色が、....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
冒巣民の愛妾小苑のごときは、その僅なうちの一人に相違なかった。 小苑が紅熟した桜桃をつまんで食べる時には、桜桃と唇との見わけがつかなかったというほどだから、ど....
チュウリップの幻術」より 著者:宮沢賢治
》をごらんなさい。まん中に居《い》てきゃんきゃん調子《ちょうし》をとるのがあれが桜桃《おうとう》の木ですか。」 「どれですか。あああれですか。いいえ、あいつは油....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
山亭で、倉重禾刀氏の乙卯吟社で催しの会は飯倉の熊野神社で開かれまた南柯吟社の武田桜桃氏等の催しは、日本橋の常盤倶楽部であった。就中常盤倶楽部は殆ど二百名の出席者....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
えばおそらくモンパルナスであったろう。まだ少年で、二十歳にも満たず、きれいな顔、桜桃《さくらんぼう》にも似た脣《くちびる》、みごとなまっ黒い頭髪、目に宿ってる春....
不良少年とキリスト」より 著者:坂口安吾
ほゞ、M・Cだけれども、どうしてもM・Cになりきれなかったんだね。 「父」だの「桜桃」だの、苦しいよ。あれを人に見せちゃア、いけないんだ。あれはフツカヨイの中に....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
ようにサネカズラにあてるは非である。すなわち玄及はまさにチョウセンゴミシである。桜桃 桜桃は中国の特産で日本にはない(栽植品は別として)一つの果樹であって花木....
向嶋」より 著者:永井荷風
始《はじめ》て隅田堤に桜樹を植えさせたのは享保二年である。ついで享保十一年に再び桜桃柳百五十株を植えさせたが、その場所は梅若塚に近いあたりの堤に限られていたとい....
澪標」より 著者:外村繁
で、至って神妙な気持になった。 山つつじの花が満開だった時もある。雨雲の下で、桜桃が真赤に熟していた時もある。澄んだ月が山野を照していた時もある。夕風に川原楊....
」より 著者:中谷宇吉郎
としては、果樹の枝折れを挙げることが出来る。その一例をとれば、山形県地方の名産|桜桃《さくらんぼ》の樹枝が、ある種の雪のために全滅することがある。もしこの種の雪....