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「桜貝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

桜貝の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虚構の春」より 著者:太宰治
いかけて、さらさらと絹ずれの音がしてお嫁のすがたが見えなくなった。たらいの中には桜貝《さくらがい》の櫛《くし》と笄《こうがい》が浮んでいるだけであった。雪女、お....
新郎」より 著者:太宰治
い。青空もこのごろは、ばかに綺麗だ。舟を浮べたいくらい綺麗だ。山茶花の花びらは、桜貝。音たてて散っている。こんなに見事な花びらだったかと、ことしはじめて驚いてい....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
深く湯に浸かっている。十九の処女《おとめ》の裸形は、白く、青く湯のなかに伸びて、桜貝を並べたような足の爪だ。小さな花びらが流れ付いたと見える乳首である。うす桃色....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
うな暗示を含めて、下等な、大抵の家庭等には知られていないような意味の言葉を、彼の桜貝のような耳朶の中へ囁き込んだ。 小さい子供は、勿論好奇心を動かされずにはい....
比較言語学における統計的研究法の可能性について」より 著者:寺田寅彦
の本質的の差を説明すべきよりどころがわからなくなるのである。 浜の真砂の中から桜貝を拾う子供のような好奇心の追究を一時中止して、やや冷静に立ち帰って考えてみる....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
で、一向に不案内じゃ。 侍女一 (笑う)お精進でおいで遊ばします。もし、これは、桜貝、蘇芳貝、いろいろの貝を蕊にして、花の波が白く咲きます、その渚を、青い山、緑....
ようか月の晩」より 著者:宮本百合子
泡沫《あわ》が立ちのぼります。肩にたれた髪から潮の薫りが流れ出して、足許には渚の桜貝が散りそうです。 次第にお城の柱に朝日が差して来る頃になると、鏡の前に立っ....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
ないちょっとしたことに、くたくたになってしまうものさ。たとえばその人の足の踵が、桜貝のような色をしていたというので、旦那をすててその人と逃げたり、その人が笑うと....
おせん」より 著者:邦枝完二
名にし負う花の笠森感応寺。渋茶の味はどうであろうと、おせんが愛想の靨を拝んで、桜貝をちりばめたような白魚の手から、お茶一|服を差し出されれば、ぞっと色気が身に....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
も、甘くはずして、はっきりとした御返事は下されず。また、海に臨んだ岩陰の、人手と桜貝とで取りまかれた藻の香の強い洞穴で、人魚同志が語るように、睦まじく話し合うた....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
は、貝の名から出たのだそうで、浜の渚は美しい。…… 金石の浜では見られません。桜貝、阿古屋貝、撫子貝、貝寄の風が桃の花片とともに吹くなどという事は、竜宮を疑わ....
日を愛しむ」より 著者:外村繁
増した。庭にはいかにも秋の花らしい、黄蜀葵の淡黄色の花が咲き続いている。秋海棠も桜貝のような薄紅色の蕾を脹らませた。 あの颱風の日以来、日毎に、素子の頸部の痛....
幼年時代」より 著者:室生犀星
目の青い人形や、絹でこしらえた財布や、嫁入さきが海岸だったというのでそこで集めた桜貝姫貝ちょうちん貝などを沢山に持っていた。それは小さな手提箪笥の中にしまってあ....