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梟
「梟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
梟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
るという。その声が遠い国に多くの人がいて口々に哀歌をうたうともきければ、森かげの
梟《ふくろう》の十羽二十羽が夜霧のほのかな中から心細そうになきあわすとも聞える。....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
《やぶき》の花のかすかな※《におい》を柔かく靄《もや》に包んだまま、ここでもただ
梟《ふくろう》の声が、ちょうど山その物の吐息《といき》のように、一天の疎《まばら....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
洞穴の内部。「さん・せばすちあん」はもう一度十字架の前に祈っている。そこへ大きい
梟《ふくろう》が一羽さっとどこからか舞い下って来ると、一|煽《あお》ぎに蝋燭の火....
「或る女」より 著者:有島武郎
て来る蛙《かわず》の鳴き声のほかには、日勝《にっしょう》様の森あたりでなくらしい
梟《ふくろう》の声がするばかりだった。葉子とはなんの関係もない夜鳥でありながら、....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
らに過去と現在とに心を残して、新らしき未来を忘るるの時、保守と執着と老人とが夜の
梟《ふくろう》のごとく跋扈《ばっこ》して、いっさいの生命がその新らしき希望と活動....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
たこの桑名へ、住替えとやらしたのかの。」 「狐狸や、いや、あの、吠えて飛ぶ処は、
梟の憑物がしよった、と皆|気違にしなさいます。姉さんも、手放すのは可哀相や言って....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
でこう捻向いて高く上を視る処に、耳はねえが、あのトランプのハアト形に頭を押立った
梟ヶ|嶽、
梟、
梟と一口に称えて、何嶽と言うほどじゃねえ、丘が一座、その頂辺に、天....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ぎり。 まあ、のめり込んだ御堂の中に、月にぼやっと菅笠ほどの影が出来て、大きな
梟――また、あっちの森にも、こっちの林にも鳴いていました――その
梟が、顱巻をした....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
にはまだ一度も文選されない、雑誌の半面、新聞の五行でも、そいつを狙って、鷹の目、
梟の爪で、待機中の友達のね、墨色の薄いのと、字の拙いのばかり、先生にまだしも叱正....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
きな鳥の翼があった。狸のごとき眼の光、灰色の胸毛の逆立ったのさえ数えられる。 「
梟だ。」 とからからと笑って、帯をぐるぐると巻きながら、 「山へ行くのに、そん....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
面から聞えてくるウィッパーウィル(原註)の鳴く声。雨蛙の不吉な声は嵐の前ぶれだ。
梟のさびしい声。突然しげみの中でがさがさいうのは、鳥がおどろいて巣から飛びたつ音....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
動を見れば、家を焼くものあり人を殺すものあり、或は足利三代の木像の首を斬りこれを
梟するなど、乱暴狼籍名状すべからず。その中には多少|時勢に通じたるものもあらんな....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
、深く石段を上る高い処にある。 「ぼろきてほうこう。ぼろきてほうこう。」 昼も
梟が鳴交わした。 この寺の墓所に、京の友禅とか、江戸の俳優|某とか、墓があるよ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
が何にも見えません。茫然と、腕組をして空を視めて立った、二階の棟はずれを覗いて、
梟が大く翼を拡げた形で、またおなじような松が雲の中に見えるんです。心を曳かれて、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
泉水あり。倒れかけたる祠には狐や宿を藉りぬらん、耳許近き木の枝にのりすれのりすれ
梟の鳴き連るる声いと凄まじ、木の葉を渡る風はあれど、塵を清むる箒無ければ、蜘蛛の....