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棘
「棘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
棘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ちゃん、弱いものいじめをなすってはいけません。」
それは内気な彼女には珍らしい
棘《とげ》のある言葉だった。武夫はお芳の権幕に驚き、今度は彼自身泣きながら、お鈴....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
に、彼を窘《くるし》めたものは、独りこの猶太人ばかりではない。あるものは、彼に荊
棘《いばら》の冠《かんむり》を頂《いただ》かせた。あるものは、彼に紫の衣《ころも....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
には、それから結果される影響などは考えてはいられない筈だ。自分の罪に苦しんで、荊
棘の中に身をころがして、悶えなやんだ聖者フランシスが、その悔悟の結果が、人類にど....
「聖書の読方」より 著者:内村鑑三
に進んで天国と其義と共に王たるべし(提摩太後書二章十一、十二節)、キリストと共に
棘の冕を冠しめられて信者は彼と共に義の冕を戴くの特権に与かるのである。 「我がた....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
の顔付には、その年頃の溌刺たる青年とは思えず、どこか海底の小暗い軟泥に棲んでいる
棘皮動物の精が不思議な身の上咄を訴えているという風に思われた。真一は言葉を続けて....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
科の植物類が丈深く密生して、多少|凸凹のある岸の平地から後方鳥喰崎の丘にかけて、
棘のような細かい雑草や、ひねくれた灌木だの赤味を帯びた羊歯類の植物だのが、遠慮な....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
惑以外の敵意も反抗も、少しも見えなかった。涙の出るまで真佐子は刺し込まれる言葉の
棘尖の苦痛を魂に浸み込ましているという瞳の据え方だった。やがて真佐子の顔の痙攣が....
「食魔」より 著者:岡本かの子
にもやがて搦め捕られてしまった。鼈四郎のような生活の些末の事にまで、タイラントの
棘が突出ている人間に取り、性抜きの薄綿のような女は却って引懸り包まれ易い危険があ....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
な少女だったのである。かりそめにも、このようなニーナたちの親切の中に、おそろしい
棘がかくされていようなどとは、思ってもみなかった。お人形のように純情なことは、い....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、ふッくりした頬も肉落ちて、裾も袂もところどころ破れ裂けて、岩に縋り草を蹈み、荊
棘の中を潜り潜った様子であるが、手を負うた少年の腕に縋って、懐紙で疵を押えた、紅....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
耳馴れぬもの、眼馴れぬものは頭から疑われる。 で、われ等の仕事が、前途幾多の荊
棘に阻まれるべきは、元より覚悟の前であらねばならぬ。われ等の啓示は往々にして、未....
「春」より 著者:岡本かの子
敗けて居ず、今日も京子の後からついて来た。京子はそれに反撥する弾条仕掛けのような
棘げ
棘げしい早足で歩きながらお民を振り返った。 ――まだ踵いて来るの。私、直ぐ帰....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
手の皮膚。その手がそこで急いで本ものの鞣皮の外套を脱ぐ。 苦学の泥の跳ねあとを
棘の舌ですっかり嘗めてしまった猫のような青年紳士は蜘蛛の糸の研究者で内地レントゲ....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
派なお家を御相続遊ばされる輝かしいお身柄。一方は生れながら暗い運命を背負って、荊
棘の道を辿らねばならぬ貧しい私生児。 花の児には父君にあやかるようにと、旦那様....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
イピストになって働く決心をしました。働いて自活します。針の蓆に座っているより、荊
棘の道を勇敢に掻き分けて進みます。養父に云わせると私の父は気狂いだったそうですか....