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森閑
「森閑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
森閑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
際限もなく広げている。それがまた、右京左京《うきょうさきょう》の区別なく、どこも
森閑と音を絶って、たまに耳にはいるのは、すじかいに声を飛ばすほととぎすのほかに、....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
、格別用のない限り、いつも勝手に下っていたから、このうす暗い八畳の間《ま》は大抵
森閑として人気《ひとけ》がなかった。それは御影《みかげ》の手水鉢《ちょうずばち》....
「星座」より 著者:有島武郎
きな声で議論めいた話をしている。それに引きかえて、ずっと見廻わしてみた園の部屋は
森閑《しんかん》として、片づきすぎるほど隅まで片づいていた。それを見ると園は父の....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
かけかわ》って、門《かど》の目印の柳と共に、枝垂《しだ》れたようになって、折から
森閑《しんかん》と風もない。 人通りも殆ど途絶えた。 が、何処《どこ》ともな....
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
であることにきまった。僕はまんまと、窓をまたいで、屋内にしのびこむことができた。
森閑とした屋内を、床をふみしめ、一歩一歩博士の部屋にちかづいたが、そのときの気持....
「俘囚」より 著者:海野十三
ければならなかった。訳はおいおい判ってくるだろうから、此処《ここ》には云わない。
森閑《しんかん》とした裏庭に下りると、夫は懐中電灯をパッと点じた。その光りが、庭....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
ーテンが深く下ろしてあるので窓の中にはなにがあるのやら、様子が分らなかった。ただ
森閑とした夜の幕を破ってときどきガチャリという金属の触れあう音が聞えた。その怪し....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
と更けた深夜の研究室にただ一人残って標品を作っている復一の姿は物凄かった。辺りが
森閑と暗い研究室の中で復一は自分のテーブルの上にだけ電燈を点けて次から次へと金魚....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
徒を引担ぐと、踵をかえして急いで部屋を出ていった。 あとに袋猫々ただひとりが、
森閑とした部屋に取残された。 烏啼の館では慰労の夜宴が開かれた。 「あのポンス....
「地球要塞」より 著者:海野十三
取戻して、仔細《しさい》を物語ってくれるのを待つことにした。 今クロクロ島は、
森閑《しんかん》としずまりかえり、只《ただ》久慈たちの吐息《といき》だけが、大き....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
当っていなかった。 (それでは、死体収容所かも知れない?) 死体収容所なれば、
森閑としているのも無理がない筈だった。そうだ、そうだ。死体収容所であろうと思った....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
る……。』と言った、微かな自覚があるのです。四辺は夕暮の色につつまれた、いかにも
森閑とした、丁度山寺にでも臥て居るような感じでございます。 そうする中に私の意....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
」 阿Qはたちまち強要と出掛け、彼女に対してひざまずいた。 一|刹那、極めて
森閑としていた。 呉媽はしばらく神威に打たれていたが、やがてガタガタ顫え出した....
「明日」より 著者:井上紅梅
それがハッキリ聞こえた。 單四嫂子は遂にうつらうつらと夢路に入った。室内は全く
森閑とした。 この時、隣の赤鼻の小唄がちょうど終りを告げた頃で、二人はふらふら....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
び密と爪立つようにして、間を隔ってあたかも草双紙の挿絵を見るよう、衣の縞も見えて
森閑と眠っている姿を覗くがごとくにして、立戻って、再三衣桁にかけた上衣の衣兜。 ....