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棹
「棹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
棹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
だちの挑戦に応じた。挑戦は勿論一つではなかった。或時はお竹倉の大溝《おおどぶ》を
棹《さお》も使わずに飛ぶことだった。或時は回向院《えこういん》の大銀杏《おおいち....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
を立てて、赤く桜を染めぬいたお揃いの手拭で、鉢巻きをした船頭が二三人|櫓《ろ》と
棹《さお》とで、代る代る漕いでいる。それでも船足は余り早くない。幕のかげから見え....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、錦の平張《ひらば》りを打ちわたして、蛮絵《ばんえ》を着た童部《わらべ》たちに画
棹《がとう》の水を切らせながら、微妙な楽の音《ね》を漂わせて、悠々と動いて居りま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
が紺暖簾に染めて掛けた、一軒(御染物処)があったのである。 廂から突出した物干
棹に、薄汚れた紅の切が忘れてある。下に、荷車の片輪はずれたのが、塵芥で埋った溝へ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
、へ、魚が、魚が人間を釣りに来てどうするだ。尾で立ってちょこちょこ歩行いて、鰭で
棹を持つのかよ、よう、姉さん。」 「そりゃ鰹や、鯖が、
棹を背負って、そこから浜を....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ねきの旗の、手拭の汚れたように、渋茶と、藍と、あわれ鰒、小松魚ほどの元気もなく、
棹によれよれに見えるのも、もの寂しい。 前へ立った漁夫の肩が、石段を一歩出て、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
見得もなく、仰向けになって女中の顔。……色が見る見る柔いで、突いて立った三味線の
棹も撓みそうになった、と見ると、二人の客へ、向直った、ふっくりとある綾の帯の結目....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
こり落しは今のうち、と引剥いで持って行くと、今度は蝉の方で、ジイジイ鳴噪いでも黐
棹の先へも掛けないで、けろりと返さぬのがおきまりであった。 ――弁持十二――と....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
の傍の、出窓の簾の中に、ほの白いものが見えたよ。紅の色も。 蝙蝠を引払いていた
棹を抛り出して、内へ飛込んだ、その嬉しさッたらなかった。夜も抱いて寝て、あけると....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
りますが、三十人、五十人、橋を通行のお方から、お銭の礫を投げて頂いて、手ン手に長
棹の尖へ網を張りましたので、宙で受け留めまするが、秋口|蜻蛉の飛びますようでござ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ンカンと鉦を鳴らした。 「ああ、この路の長かったこと。」 七 釣
棹を、ト肩にかけた、処士あり。年紀のころ三十四五。五分刈のなだらかなるが、小鬢さ....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ま、暗い方に隠れて待った、あの射的店の幽霊を――片目で覗いていた方のである――竹
棹に結えたなり、ずるりと出すと、ぶらりと下って、青い女が、さばき髪とともに提灯を....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
月あれども地上の光天をかすめて無きが如く、来往の船は自ら点す燈におのが形を示し、
棹に砕けてちらめく火影櫓行く跡に白く引く波、見る者として皆な暑さを忘るる物なるに....
「夜釣の怪」より 著者:池田輝方
こう陣取りまして、五六|間離れた処に、その女郎屋の主人が居る。矢張り同じように釣
棹を沢山やって、角行燈をつけてたそうです。 祖父が釣をしていると、川の音がガバ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
頭が一人一丈余りの櫓を押していた。それからお上さんらしい女が一人御亭主に負けずに
棹を差していた。こういう水上生活者の夫婦位妙に僕等にも抒情詩めいた心持ちを起させ....