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「植込み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

植込みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
形の侍所《さむらいどころ》も、その時は私共二人だけで、眩《まば》ゆく朝日のさした植込みの梅の青葉の間からは、それでも涼しいそよ風が、そろそろ動こうとする秋の心も....
」より 著者:芥川竜之介
の後に、その窓から外を覗《のぞ》いた時には、ただ微風に戦《そよ》いでいる夾竹桃の植込みが、人気《ひとけ》のない庭の芝原を透《す》かして見せただけであった。 「ま....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
の間に、的※《てきれき》たる花をつけたのを眺めていた。日の色はもううすれ切って、植込みの竹のかげからは、早くも黄昏《たそがれ》がひろがろうとするらしい。が、障子....
生きている腸」より 著者:海野十三
と鼻を鳴らして、弊服獅子頭の医学生吹矢隆二は、守衛の前を通りぬけると、暗い病院の植込みに歩を運んだ。 彼はすたすたと足をはやめ、暗い庭を、梟《ふくろう》のよう....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
案内します」 女たちに左右を取りまかれて、お蝶は庭下駄をはいて広い庭に降りた。植込みの間をくぐってゆくと、そこには物凄いような大きい池が青い水草を一面にうかべ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
ろうとする新内流しの二人連れに訊ねると、待合の紅高砂家はすぐ分った。ゴタゴタした植込みを抜けて、玄関の格子をガラガラと明けると、奥からバネ仕掛のように垢ぬけのし....
蠅男」より 著者:海野十三
士は窓ぎわへ急いで近づくと、首を出して外を見た。地上までは一丈ほどもあり、真暗な植込みが、窓から洩れる淡い光にボンヤリ照らし出されていた。しかし地上に帆村の姿を....
地球盗難」より 著者:海野十三
さしのばしたが、何と思ったものか、そのまま手を引込めてしまった。 大隅学士は、植込みの中を注意ぶかく縫っていった。そして勝手知った裏口から、ソッと本館内に忍び....
デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
腰を屈めてタイル張りの床を透かして見たり外廓を取り繞ぐる鉄柵の内側に沿う三尺幅の植込みへ手を突込んで、灌木の根元の土を掻き回す様に調べたりしていたが、間もなく複....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
遑《いとま》はない。とにかくかのトランクは煙のように消えてしまったのである。庭の植込みに隠れていたかもしれない泥坊《どろぼう》の詮議《せんぎ》や、一応は疑われた....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
持参、手覚えのあるのは、係羂に鼠の天麩羅を仕掛けて、ぐびぐび飲みながら、夜更けに植込みを狙うなんという事がありますそうで?―― 婆さんが話しました。」 「私は....
」より 著者:岡本かの子
かけて四角な敷石が敷きつめてある。その一方には芝笹の所々に、つつじや榊を這わせた植込みがあり、他方は少し高くなり、庭隅の一本の頑丈な巨松の周りに嵩ばった八ツ手の....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
で中は森としていました。私は家の中の案内はよく知りぬいているので、こんもりとした植込みを通りぬけ、泉水をまわって智恵子の居間の方へ行きました。 幸いそこの一つ....
情鬼」より 著者:大倉燁子
かった。大きな番犬がどこからか出て来て、迂散臭そうに二人の後をついて来る。二人は植込みを抜けて広い芝生の上を歩いた。芝生は露に濡れていて、着物の裾がしめっぽくし....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
ものを感じている。が、セセッション式の本所会館は「牛乳デー」とかいうもののために植込みのある玄関の前に大きいポスターを掲げたり、宣伝用の自動車を並べたりしていた....