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「椎の木〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

椎の木の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
闇の絵巻」より 著者:梶井基次郎
。しばらくするとまた歩き出す。 街道はそこから右へ曲がっている。溪沿いに大きな椎の木がある。その木の闇はいたって巨大だ。その下に立って見上げると、深い大きな洞....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
根を剥《は》がれたことはただの一度もないとの話だ。家なども随分と古い、柱が残らず椎の木だ。それがまた煤《すす》やら垢《あか》やらで何の木か見別けがつかぬ位、奥の....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
の太鼓、消えずの行燈だとも云いますし、ある書物には津軽家の太鼓を省いて、松浦家の椎の木を入れています。又ある人は足洗い屋敷を省いて、津軽と松浦と消えずの行燈とを....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
。過ぐる七か月は寛斎にとって、二年にも三年にも当たった。旅籠屋の裏二階から見える椎の木よりほかにこの人の友とするものもなかった。その枝ぶりをながめながめするうち....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
蟀が二つ配ってあった。画面の全体が焦茶色の調子でひきしめられていたが、枯れ朽ちた椎の木の上皮に養いを取って、かりそめの生を心ゆくばかり娯しんでいる菌の気持が、心....
古狢」より 著者:泉鏡花
極楽でも、地獄でも、その糸がいけないの。」 「糸が不可いとは。」 「……だって、椎の木婆さんが、糸車を廻す処ですもの、小豆洗ともいうんですわ。」 後前を見廻し....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
。山果庭ニ落チテ、朝三ノ食|秋風ニ※クとは申せども、この椎の実とやがて栗は、その椎の木も、栗の木も、背戸の奥深く真暗な大藪の多数の蛇と、南瓜畑の夥多しい蝦蟇と、....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
あるが、皇子の歌ほど切実にひびかない。 「椎の葉」は、和名鈔は、「椎子岳だから、椎の木の生長のことなどそう合理的でなくとも、ふとそんな気持になって詠んだものであ....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
的なものを出て、大自然に庭をつくった、と言うことが出来る。その庭には、ただ一本の椎の木しかなかったり、ただ夏草のみがもえていたり、岩と、浸み入る蝉の声しかなかっ....
妖婆」より 著者:岡本綺堂
をせかれたように白く埋められていた。三人がつづいて横町へはいると、路ばたの大きい椎の木のこずえから、鴉らしい一羽の鳥がおどろかされたように飛び起った。 神南と....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
は最大の利便と助力とを感じたのであったのだ。 約束は伐り払ったままになっていた椎の木の枝を片づけに一日頼んだ夕方に出来上ったのであった。浩さんは次の日も来てく....
椎茸の話」より 著者:北大路魯山人
県あたりで採れる椎茸は実に見事で、日本一と叫んでもいいだろう。大分の椎茸は本当の椎の木にできた椎茸なので、かさが黒くなめらかで、香りや味がすばらしい。関東で賞味....
女の怪異」より 著者:田中貢太郎
鬼魅が悪くなったので、急いですたすたと歩いた。 一段|地所が高くなって処どころ椎の木を植えた処があった。菊江はそこの傾斜の赭地の肌を駈けあがりながら揮返った。....
俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
気のよい時など珍しく庭の木立に見出すことがあります。 椎の実を銀杏間近く拾ひけり椎の木と銀杏の木と並んであるようなところで椎の実を拾った時の句と想像してください....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
の跡に建ったのであろう。安田家は確か花崗石を使ったルネサンス式の建築だった。僕は椎の木などの茂った中にこの建築の立っていたのに明治時代そのものを感じている。が、....