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「検疫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

検疫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
音がして、やがて葉巻《はまき》をくわえたままの口ごもりのする言葉で、 「もうじき検疫《けんえき》船だ。準備はいいだろうな」 といい残したまま事務長は船医の返事....
新生」より 著者:島崎藤村
た船客一同と共に、岸本は一夜を和田|岬《みさき》の燈台の附近に送った上で、翌朝の検疫を済ましてから艀《はしけ》に移った。新嘉坡《シンガポール》以来船では俄《にわ....
海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
んもく》の燈台をながめて、港口標光を前にながめながら、わが万寿丸は横浜港外に明朝検疫までを仮泊した。三千トンの重さと大きさとの、怪獣のうなりにも似た轟音《ごうお....
旅日記から」より 著者:寺田寅彦
帯びた岩層のありあり見える絶壁がそばだっている。トルコの国旗を立てたランチが来て検疫が始まった。 土人の売りに来たものは絵はがき、首飾り、エジプト模様の織物、....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
にかわったこともなく、ウラル丸はついにめでたく敦賀の港に錨をおろした。ウラル丸の検疫がすんだ。もうこのうえは上陸してもよいということになった。そこで桟橋に、横づ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
い。海上のそこここに同じ集団が散在している。青煙突は英吉利の貨物船・黄地にQ字の検疫旗を揚げたメサジェリイのふらんす船・デラクサ号は伊太利船だ。下に、船籍港ナポ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
舎と大きい修道院と小修道院とに共通のものであった。それからまた、街路に開いている検疫所みたいな一種の入り口から、一般の人もはいることが許されていた。けれども修道....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
海があった。 僕は今でもよくそれを覚えている。それは七月のある暑い朝であった。検疫所から来る一艘の汽船を待っている間、税関吏たちはふらふらと波止場を歩いていた....
可愛い女」より 著者:神西清
のところへ行って、そのまま帰って来なかった。父親の方はというと毎日どこかへ家畜の検疫に出掛けて、時によると三日も続けて家をあけることがあるので、オーレンカはサー....
火の扉」より 著者:岸田国士
はもう沖へはいつていることをたしかめ、夜の明ける前にさん橋のたもとに立つていた。検疫でしばらく暇がかゝることを告げ知らされたのは、昼近くであつた。用意して来た握....
野萩」より 著者:久生十蘭
宝石があらわれて、五日も観音崎の沖でとめられ、ようやく上陸許可になったと思うと、検疫中にチフス患者が出たり、なにか、ひどくごたごたした。 安は白足袋の爪先をき....
死の接吻」より 著者:小酒井不木
伝わった。コレラの報知は郭松齢の死の報知とはちがい、内務省の役人を刺戟して、船舶検疫を厳重にすべき命令が各地へ発せられたが、医学が進めば、黴菌だって進化する筈で....
西航日録」より 著者:井上円了
おけるがごとしと。誠にしかり。金銭はすなわちシナ人の砂糖なり。船中において彼らの検疫を行うに、上衣を脱して、半身裸体ならしむ。これを一見するもまた一興なり。余も....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
明治四十四年四月二十五日、快晴。午前七時、木曜島に着岸す。これ豪州の北端なり。検疫および旅行者の調査あり。この辺り小嶼海中に群立す。月曜、火曜、水曜、木曜、金....
ユモレスク」より 著者:久生十蘭
りと宝石があらわれて五日も観音崎の沖でとめられ、ようやく上陸許可になったと思うと検疫中にチブス患者が出たり、なにかひどくごたごたした。 やすは白足袋の爪先をき....