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「楊柳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

楊柳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
《かめ》が一つ、威《い》かつくどっしりと据えてあった。そうしてその上には怪しげな楊柳観音《ようりゅうかんのん》の軸が、煤《すす》けた錦襴《きんらん》の表装《ひょ....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
やみがたい哀愁をよび起すこれらの川のながめは、いかに自分の幼い心を、その岸に立つ楊柳《ようりゅう》の葉のごとく、おののかせたことであろう。 この三年間、自分は....
厳島合戦」より 著者:菊池寛
結婚した男である。 乃木将軍式スパルタ式の猛将である。三男の隆景は時の人これを楊柳とよんで容姿端麗な武士であった。其の才略抜群で後秀吉が天下経営の相談相手とな....
雷峯塔物語」より 著者:田中貢太郎
船頭は驚いたように言って艪をぐいと控えて、舳を陸にして一押し押した。と、舟はすぐ楊柳の浅緑の葉の煙って見える水際の沙にじゃりじゃりと音をさした。許宣は水際へ走り....
西湖主」より 著者:田中貢太郎
と匂うてきた。曲欄を幾まがりか折れて往くとまた別の庭があって、枝を垂れた数十株の楊柳が高だかと朱の簷を撫でていた。そして名も知れぬ山鳥が一鳴きすると花片が一斉に....
春昼」より 著者:泉鏡花
の間に此処に来て、虚空に花降る景色を見よう。月に白衣の姿も拝もう。熱あるものは、楊柳の露の滴を吸うであろう。恋するものは、優柔な御手に縋りもしよう。御胸にも抱か....
嬰寧」より 著者:田中貢太郎
いった。果して半畝位の庭があって、細かな草が毛氈を敷いたように生え、そこの逕には楊柳の花が米粒を撒いたように散っていた。そこに草葺の三本柱の亭があって、花の木が....
蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
船頭は驚いたように云って艫をぐいと控えて、舳を陸にして一押し押した。と、舟はすぐ楊柳の浅緑の葉の煙って見える水際の沙にじゃりじゃりと音をさした。許宣は水際へ走り....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ゃ、路子、南條さんを食堂へ案内してあげなさい。」と、準之助氏が面を吹いて寒からず楊柳の風といったような、おだやかな声でいった。 家を一足出ると、ストッキングに....
鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
わけても君、吉田惣蔵君のことを、何事につけても思い出すのだがね。 黄浦河の岸に楊柳の花が咲いて散って空に飜えり、旗亭や茶館や画舫などへ、鵞毛のように降りかかる....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
ているのが眼に付いた。ラシイヌの心臓は動悸を打ち、その眼は急に見開らかれた。彼は楊柳の蔭へこっそり姿をひそませて、じっと様子を窺った。船中の唄声はやがて絶えて、....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
にはちらりほらり、貧しそうな農家は有るが、新利根川|端には一軒も無く、唯|蘆荻や楊柳が繁るのみで、それも未だ枯れもやらず、いやに鬱陶しく陰気なので有った。 此....
赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
た。河幅が狭まるに連れて両岸の風景が僕等の前に展開されて来た。緑青を塗ったような楊柳楊柳の間に隠見して見える支那家屋――その支那家屋の美しさは、翼を刎て宙へ舞....
支那の思出」より 著者:国枝史郎
廻った。約一ヶ月を費した。 汽船は秩父丸であった。船がウースン河へ這入り、岸の楊柳が緑青のような色に萌え、サンパンだのジャンクだのが河の上をノンビリと通ってい....
中支遊記」より 著者:上村松園
もあることであったが、五亭橋の上にあがっての遠望は、まさに好個の山水図であった。楊柳をあしらった農家が五、六軒も点在したろうか。放し飼いの牛が遊んでいる。悠々た....