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楽々
「楽々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
楽々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
りと地蔵堂の門障子《かどしょうじ》をあけた。囲炉裡《いろり》の前には坊主が一人、
楽々《らくらく》と足を投げ出していた。坊主はこちらへ背を見せたまま、「誰じゃい?....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
顋《あご》にも明らかだった。重吉はこの茶の間へはいると、洋服を和服に着換えた上、
楽々と長火鉢の前に坐り、安い葉巻を吹かしたり、今年やっと小学校にはいった一人息子....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ったりして見せるのです。おまけにちょうどいい時分になると、さもがっかりしたように
楽々とつかませてしまうのです。僕の見かけた雄の河童は雌の河童を抱いたなり、しばら....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
ながら、「二――」と再び喚いた時には、もう冬の青空を鮮《あざやか》に切りぬいて、
楽々とその上に上《あが》っていた。この丹波先生の滑稽なてれ隠しが、自分たち一同を....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ら、その巌石へ飛びかかったと思うと、咄嗟《とっさ》の間に抱え上げて、彼にも劣らず
楽々と肩よりも高くかざして見せた。
それはこの二人の腕力が、ほかの力自慢の連中....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
た女人は啓吉の妻の借着をしている。もし借着をしていなかったとすれば、啓吉もさほど
楽々とは誘惑の外に出られなかったかも知れない。
註 菊池寛氏の「啓吉の誘惑」を....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
か、伺ったように思っています。
俊寛《しゅんかん》様は円座《わろうだ》の上に、
楽々と御坐りなすったまま、いろいろ御馳走《ごちそう》を下さいました。勿論この島の....
「百合」より 著者:芥川竜之介
みたぶ》を掴《つか》んだ。が、まだ仕合せと引張らない内に、怖い顔をした惣吉の母は
楽々《らくらく》とその手を※ 《も》ぎ離した。
「お前さんはいつも乱暴だよう。こ....
「星座」より 著者:有島武郎
から」
西山さんは手を振りきってどんどん列車の方に行く。婆やはそのすぐあとから
楽々と跟《つ》いていくことができた。
人見さんが列車の窓から、
「おいここだ、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
れてしまった。なんだか狐に化かされているような塩梅で、拍子ぬけがした。オーヴァは
楽々と脱げた。そしてポケットの中から、懐中時計と三枚の十銭貨幣とが出てきた。僕は....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
大事件が何度も繰返されている。如何なる大破壊も如何なる大建設も二十五年間には優に
楽々と仕遂げ得られる。一国一都市の勃興も滅亡も一人一家の功名も破滅も二十五年間に....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
補は彼の二人の部下であったと、今更ことわるまでもないであろう。実に賊烏啼は極めて
楽々と苅谷夫人を誘拐し去ったのである。 それはまことに見事なプレーであったが、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
まして、片手に薬缶を提げたなりで、夕焼にお前様、影をのびのび長々と、曲った腰も、
楽々小屋へ帰りますがの。 貴女はそこへ。……お裾が靡いた。 これは不思議、と....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
このカッフェの薔薇色の壁に何か平和に近いものを感じ、一番奥のテエブルの前にやっと
楽々と腰をおろした。そこには幸い僕の外に二三人の客のあるだけだった。僕は一杯のコ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
乏な好事家に珍重されるだけで、精々が黄表紙並に扱われる位なもんだろう。今でこそ写
楽々々と猫も杓子も我が物顔に感嘆するが、外国人が折紙を附けるまでは日本人はかなり....