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「楽土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

楽土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
たり、極楽鳥《ごくらくちょう》の囀《さえず》ったりする、美しい天然《てんねん》の楽土《らくど》だった。こういう楽土に生《せい》を享《う》けた鬼は勿論平和を愛して....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
脈中に、チベット人が、「|天母生上の雲湖《ハーモ・サムバ・チョウ》」とよぶ現世の楽土、そこにユートピアありと信じている未踏の大群峰がある。またそこを、鹹湖《かん....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
っている馬や牛、ここにある物は何も彼も、一切|無惨しく破壊されてある。 「平和の楽土ではなかったのだ。ここもやはり浮世だったのだ」 逃げ迷う人波に揉まれ揉まれ....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
出来ない。 さかしい知者*の立場になることは出来ない。 せめては酒と盃でこの世に楽土をひらこう。 あの世でお前が楽土に行けるときまってはいない。 5 生きて....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
の出入に随って、天に上り、地を下る、その間を、鳥と、虫と、石楠花が、永久|安棲の楽土としている。 ここに石楠花にとろけている生物が二個ある、一個は私である、一....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
の軽侮を意味するエピセットである。これは彼らが腐肉や糞堆《ふんたい》をその定住の楽土としているからであろう。形態的にははちの子やまた蚕ともそれほどひどくちがって....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
見えない。若竹や――何とか云う句で宗匠を驚したと按摩にまで聞かされた――確に竹の楽土だと思いました。ですがね、これはお宅の風呂番が説破しました。何、竹にして売る....
技術の哲学」より 著者:戸坂潤
は今や、古いヨーロッパは云うまでもなく、先進後進の極東諸国家に於て、又更に自由の楽土(?)アメリカに於てさえ、物質的及び精神的な(人々はそう呼ぶのである)危機に....
蓮花公主」より 著者:田中貢太郎
、万代遭わざるの禍、社稜宗廟、危、旦夕に在り。乞う皇上早く宮眷を率いて、速やかに楽土に遷れよ云云。 竇は読み畢って顔の色が土のようになった。その時宮女が奔って....
喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
れは自分がちょっとかつがれたのかもしれない。 ドイツは葉巻が安くて煙草好きには楽土であった。二、三十|片で相当なものが吸われた。馬車屋や労働者の吸うもっと安い....
次郎物語」より 著者:下村湖人
れはなるほど、一応は日本の大発展を約束しているかのように見える。五族協和とか王道楽土とかいう言葉も、非常に美しい。それだけを切りはなしてみると、これほど道義的で....
苦楽」より 著者:上村松園
である筈です。この意味において、畢竟作家がある作品を制作するのには、心境に無上の楽土を現顕し得るようでないといけないと思います。 作家が制作に没頭している時、....
「日本民族」とは何ぞや」より 著者:喜田貞吉
却してはならぬ。渡って海北九十五国を平らげ給うた結果は申すまでもない。我が東海の楽土を慕うて、大挙移民した蕃人の史上に見ゆる数だけでも、決して少いものではなかっ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
の封の披かれたるものよ。 疾く往きて花咲け。 春よ。芽ぐめ。 紅に、はた緑に。楽土を 憩へるものに与へよ。 メフィストフェレス(悪魔等に。) なんだっ....
蛆の効用」より 著者:寺田寅彦
のは最高度の軽侮を意味するエピセットである。これはかれらが腐肉や糞堆をその定住の楽土としているからであろう。形態的には蜂の子やまた蚕とも、それほどひどくちがって....