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「楽士〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

楽士の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
孟買挿話」より 著者:吉行エイスケ
飾って帰途を急いでいる。午後十一時半に閉ねる活動写真館から五色のターバンを巻いた楽士達が通用門から出る時刻であった。カバレット・バビロンの白煉瓦の高層な建物から....
旅愁」より 著者:横光利一
に映り合った花叢はむらむらと霞の湧き立つような花壇であった。丁度、紫陽花の中から楽士たちのタンゴが始まり出したときである。 「やア。」 と云って這入って来た三....
金属人間」より 著者:海野十三
まえに立ってみると、あの景気のよい呼びこみの声もなく、にぎやかすぎるほどの楽隊の楽士たちも、どこへ行ったかすがたがなく、表の札売場《ふだうりば》はぴったりと閉じ....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
「今頃は、田アちゃん、おそろしい女蜘蛛に生血を吸いとられているんだろう」 と、楽士のひとりがいいだしたとき、指揮者の森山は顔色をかえて、 「あ、いけないよ、そ....
小公女」より 著者:菊池寛
只今、長の旅路におわせど、そなた達を饗宴に招ぜよと、妾に御諚下されしぞ。何じゃ、楽士共か。六絃琴、また低音喇叭を奏でてたもれ。」そういってから、セエラは二人にい....
淪落」より 著者:林芙美子
は二週間ほどけいこをして貰うことになつている。わたしは昼間そこへ通つた。そこで、楽士をしていると云う栗山に逢つた。栗山はまだ若くて、復員して来たばかりで、気持ち....
落合町山川記」より 著者:林芙美子
になってしまったとは云っても、郊外らしい活動館まで、トオキイになってしまっては、楽士さんもなかなか骨なことであろう。 いまは、秋らしくなった。だが、日中はなか....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ることもなく、すぐ解散を許された。 残ったのは、総監と、特に居残りを命じられた楽士であった。 「あなた方は一段高い席におられたのですが、犯行を目撃された方はお....
映画と音楽」より 著者:伊丹万作
なはだ迷惑である。 我々がその半生を音楽の教養に費していたら、いまごろはへたな楽士くらいにはなつていたかもしれぬが、決して一人まえの監督はできあがつていないは....
私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
た。最近「気まぐれ冠者」という写真を作つてその音楽の吹込みをしたとき大阪から来た楽士の中に混つて毛谷平吉氏がバイオリンを弾いている姿を見かけて、私はむかし懐しい....
魔都」より 著者:久生十蘭
長者の珊瑚王の御子息とは見えない。トーキー出現のあおりを喰って失業の憂目に逢った楽士氏か、銀座裏のバアテンダー氏の成れの果てといったところ。まことに場所柄にふさ....
あなたも私も」より 著者:久生十蘭
ゃんのバイヤーたちの、たまりみたいになっているんでね」 階下のサロン・バアで、楽士がピアノでドビュッシイの『金魚』を奏《ひ》いている。 「オードォヴルはいいけ....
宝塚生い立ちの記」より 著者:小林一三
その頃、大阪の三越呉服店には、少年音楽隊なるものがあった。二、三十人の可愛らしい楽士が養成され、赤地格子縞の洋装に鳥の羽根のついた帽子を斜めにかぶって、ちょっと....
帯広まで」より 著者:林芙美子
いじゃないの?」 何時も口を突いて出る言葉であった。九太は三楽館と云う映画館の楽士であったので帰りは何時も遅いのであった。 「遅かないよ。まだ十一時だもんね」....
三国志」より 著者:吉川英治
酒間をあるいて賓客をもてなしなどしている風なので、客もみな心をゆるし、相府直属の楽士が奏する勇壮な音楽などに陶酔して、 「宮中の古楽もよいが、さすがに相府の楽士....