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「構えて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

構えての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
万元を越していたんだからね。こいつは上海《シャンハイ》の租界の外に堂々たる洋館を構えていたもんだ。細君は勿論、妾《めかけ》までも、………」 「じゃあの女は芸者か....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
をさし交《かわ》せて、ひっそり谷を封じたまま、何か凶事《きょうじ》が起るのを待ち構えているようであった。が、彼は何も見ず、何も聞かずに走り続けた。熊笹は露を振い....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
愛上の衒学者《げんがくしゃ》と云わなければならぬ。あらゆる処女崇拝者の何か厳然と構えているのも或は偶然ではないかも知れない。 又 勿論処女らしさ崇拝....
或る女」より 著者:有島武郎
妹や定子がどうした。今まで葉子を襲い続けていた不安はどうした。人に犯されまいと身構えていたその自尊心はどうした。そんなものは木《こ》っ葉《ぱ》みじんに無くなって....
或る女」より 著者:有島武郎
きつけながら、たった一人その部屋《へや》の中にいるもののように鷹揚《おうよう》に構えていた。偶然顔を見合わせても、葉子は張りのあるその目を無邪気に(ほんとうにそ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と目笊は流へ。お蔦は立直って腰障子へ手をかけたが、溝の上に背伸をして、今度は気構えて勿体らしく酸漿をクウと鳴らすと、言合せたようにコロコロコロ。 「ね、可愛い....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
この岩内の小さな町にも、二三百万円の富を祖先から受け嗣いで、小樽には立派な別宅を構えてそこに妾を住まわせ、自分は東京のある高等な学校をともかくも卒業して、話でも....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
が呼ばわる。 「何じゃいし。」と振向くと、……亭主いつの間にか、神棚の下に、斜と構えて、帳面を引繰って、苦く睨み、 「升屋が懸はまだ寄越さんかい。」 と算盤を....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
ゃねえかね。」 「賛成。」 と見物の頬被りは、反を打って大に笑う。 仕種を待構えていた、饂飩屋小僧は、これから、割前の相談でもありそうな処を、もどかしがって....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
を着た、毘沙門天、増長天という形で、五体を緊めて、殺気を含んで、呼吸を詰めて、待構えているんでがしてな。 お嬢さんの方は、名を縫子さんと言うんで、申さずとも娘....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
一扱き扱いたのは、大学法科出の新学士。肩書の分限に依って職を求むれば、速に玄関を構えて、新夫人にかしずかるべき処を、僻して作家を志し、名は早く聞えはするが、名実....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
を忘れてしまったように、その上に彼の紫の瑠璃色の拳を乗せていた。 一同は、待ち構えている彼の返事がそこからでも出てくるように、じーっとラザルスの拳に見入ってい....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
れから何年になるか知れぬが、今では少し幽界の修行も積み、明るい所に一|軒の家屋を構えて住わして貰っている……。』 私は良人の素朴な物語を大へんな興味を以てきき....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
界へなだれ込む。すると其所には、残忍性にとめる在来の堕落霊どもが、雲霞の如く待ち構えていて、両者がグルになって、地上の堕落せる人間に働きかけるから、人間の世界は....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
いが、そうでない。挙げたのは二十幾年かの間の折にふれた作なのである。第一、一家を構えていない。妻子も何も持たぬ。仕事は子がいから仕込まれた、――これは名だたる師....