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樒
「樒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
樒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
の盂蘭盆会《うらぼんえ》に水辺の家々にともされた切角灯籠《きりこどうろう》の火が
樒《しきみ》のにおいにみちたたそがれの川へ静かな影を落すのを見た人々はたやすくこ....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
して家《うち》へ帰った時の心もちだった。
何度も同じ小みちに出入した後、僕は古
樒《ふるしきみ》を焚《た》いていた墓地掃除の女に途《みち》を教わり、大きい先生の....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
です。――この時の事は後《のち》になっても、和尚贔屓《おしょうびいき》の門番が、
樒《しきみ》や線香を売る片手間《かたでま》に、よく参詣人へ話しました。御承知かも....
「少年」より 著者:芥川竜之介
のように小綺麗《こぎれい》に見えはしなかったらしい。「門前の土鳩《どばと》を友や
樒売《しきみう》り」――こう云う天保《てんぽう》の俳人の作は必ずしも回向院の
樒売....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
たりは彼岸参りの人を待つかのように何となく賑わっていた。寺門前の花屋の店さきにも
樒《しきみ》がたくさん積んであった。それを横眼に見ながら、長三郎は綾瀬村の方角を....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の墓の前に立っている新らしい塔婆を片っぱしから引っこ抜いてしまうんですよ。花筒の
樒《しきみ》の葉は掻きむしってしまう。どうにもこうにも手に負えねえ。初七日《しょ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あった。盆前で参詣が多いとみえて、花屋の小さい店先には足も踏み立てられないほどに
樒の葉が青く積まれてあった。 「もし、今日は」 店口から声をかけると、
樒に埋ま....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
綺麗に行きとどいて、白い百日紅の大樹が眼についた。入口の花屋で要りもしない線香と
樒を買って、半七はそこの小娘にそっと訊いた。 「ここのお住持はなんという人だえ」....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、朝顔を添えた女の志を取り受けて、築地本願寺の墓地へ詣でて、夏の草葉の茂りにも、
樒のうらがれを見た覚えがある…… ……とばかりで、今、今まで胴忘れをしていた、....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
い石橋の際に土をあわれに装って、石地蔵が、苔蒸し、且つ砕けて十三体。それぞれに、
樒、線香を手向けたのがあって、十三塚と云う……一揆の頭目でもなし、戦死をした勇士....
「海亀」より 著者:岡本綺堂
く鳴いていた。 見ると、妹の墓地の前――新ぼとけをまつる卒塔婆や、白張提灯や、
樒や、それらが型のごとくに供えられている前に、ひとりの男がうつむいて拝んでいた。....
「叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
花 十二日、青山墓地にて埋葬のこと終る。この日は陰りて雨を催せり。 青山や花に
樒に露時雨 十五日は初七日、原田春鈴君来りて、その庭に熟したりという枝柿を霊前....
「寺町」より 著者:岩本素白
戸には、「焼きつぎ」という古い看板を掛けた家がある。そんな町の中に、珍しい商売の
樒問屋があったりして、この山の手の高台の背を走る、狭い町筋の左右に、寺の多いこと....
「エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
番職人歌合」には、 庭掃 材木売 竹売 結桶師 火鉢売 糖粽売 地黄煎売 箕作
樒売 菜売 鳥売 の三十二者の名を並べて、「こゝに我等三十余人、賤しき身」と云....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
垣つゞき。……その間の、人けのない、一※すじ石のいろの白くしずんだ細道のうえに、
樒をもったり線香を煙らしたりした弟子師匠の、五つのそのもつれて行く影がしずかに濃....