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標柱
「標柱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
標柱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
。彼は途中で六三郎の追いつくのを待ちうけて、戸長役場の前を往還側に建てられてある
標柱のところへ行って一緒に立った。 その高さ九尺ばかり。表面には改正になった郡....
「小浅間」より 著者:寺田寅彦
の地球物理学者たちがここにエアトヴァスの重力偏差計をすえ付けて観測した地点を示す
標柱だそうである。年々に何百人という登山者のうちで、こんな柱の立っているのに気の....
「海底都市」より 著者:海野十三
あった。 「いよいよ来ましたよ。ここが、この町中で一番高いところです。ほら、この
標柱《ひょうちゅう》をごらんなさい。『スミレ地区|深度基点《しんどきてん》〇メー....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
の眼をくぐって白の動きを見守る赤の密偵と、赤系と白系が縒りまざってまるで理髪屋の
標柱のような哈爾賓の社会相が、ここにそのままの縮図を見せているのだった。何という....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ラカラ浴場跡の雑草のように、生々と沸き上るのを見た。 ゴンドラを繋ぐ、理髪屋の
標柱のような彩色棒の影が、水の上で、伸びたり縮んだり、千切れたり附着したりして、....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
ろわれ買われ ああ 君たちは 片づけられ 忘れられる かろうじてのこされた一本の
標柱も やがて土木会社の拡張工事の土砂に埋まり その小さな手や 頚の骨を埋めた場....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
っていった……。クリストフは車窓に顔をくっつけて、版図の境界を示す帝国章のついた
標柱を見ようとつとめた。汽車がベルギーの最初の駅へ到着する汽笛を鳴らした時、彼は....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の上の森を過ぎ、それから、ある別れ道の角に、旧関門第四号としるしてある虫の食った
標柱の立ってる側にある、一軒の飲食店を通り過ぎた。その飲食店の正面には、「万人歓....
「変る」より 著者:豊島与志雄
と睥めくらをしてるうち、ふしぎな憤りを感じて、拳をかため一撃した。 乗合バスの
標柱が音を立てて転った。 彼はその音を耳にしなかった。相手を打倒したはずみに、....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
た朝のことであった。その村はブアシー・セン・レージェという名であることは、往来の
標柱でわかった。 さてわたしたちは日の出ごろ宿をたって、別荘のへいに沿って、そ....
「KからQまで」より 著者:寺田寅彦
に遭うくらいだから人間にとってはあまり安全な地帯でないのである。従ってこの曲った
標柱は天然自然の滑稽であり皮肉である。これをそっくり写真に取れば、立派な、高級な....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
、果然、その晩、季節はずれの暴風が一夜吹きつのった。そして眼の前の砂丘の上へ石の
標柱を現出した。それに刻まれた回鶻語を博士が朗々と読んだ時、ラシイヌもレザールも....
「車中有感」より 著者:上村松園
て、瞬時に、ある絵の構図を掴んだり、古戦場を通りかかって、そこに白々と建っている
標柱に、何のそれがし戦死のところ、とか、東軍西軍の激戦地とかの文字を読んで、つわ....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
だ。 午が少しまわったころ、峠の頂へ出た。ここには、上州と信州の国境を示す石の
標柱が、嶺から平野へわたる風のなかに立っていた。その
標柱の礎石の前の小さな石塊を....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
告の多い町だ。倒した古材木の頭にむしろを冠せたのが覗いている露地口には筍のように
標柱が頭を競っている。小児科の医者、特許弁理士、もう一つ内科呼吸器科の医者、派出....