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樟
「樟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
樟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
らんしすこ。
十二日。……………
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日本の南部の或山みち。大きい
樟《くす》の木の枝を張った向うに洞穴《ほらあな》の口が一つ見える。暫《しばら》く....
「外科室」より 著者:泉鏡花
だ、勉強したまえ」 予は画師たるがゆえに動かされぬ。行くこと数《す》百歩、あの
樟《くす》の大樹の鬱蓊《うつおう》たる木《こ》の下蔭《したかげ》の、やや薄暗きあ....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
せん。死《しん》だ銀色の衣魚《しみ》が一つその袖から落ちました。御顔に匂いかかる
樟脳《しょうのう》の香を御嗅ぎなさると、急に楽しい追憶《おもいで》が御胸の中を往....
「蠅男」より 著者:海野十三
村の鼻を強くうった臭気があった。 「変な臭いだ。何の臭いだろう」 スーッとする
樟脳くさい匂いと、それになんだか胸のわるくなるような別の臭いとが交っていた。 ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
俺が目付けてみせる。……それから金銀円方として、金粉、銀粉、鹿頭、白花蛇、烏蛇、
樟脳、虎胆の七種を、丸薬として服ませもするが、これとて対症的療法に過ぎない。東洋....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
紀もかかって積み重ね積み重ねして来たこの国の文化ではなくて、この島に産する硫黄、
樟脳、生糸、それから金銀の類なぞが、その最初の主なる目的物であったのだ。 十一....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
最も激戦であった。この方面は会津、桑名の護るところであったからで。皇居の西南には
樟の大樹がある。築地を楯とし家を砦とする戦闘はその樹の周囲でことに激烈をきわめた....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
から出た! 真鍮の金具、五重の櫓、狭間作りの鉄砲|檣! 密貿易の親船だ! 麝香、
樟脳、剛玉、緑柱石、煙硝、氈、香木、没薬、更紗、毛革、毒草、劇薬、珊瑚、土耳古玉....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
を通りかかると、どこかで赤児の泣く声がきこえる。不思議に思って見まわすと、年古る
樟の大樹に鷲の巣があって、その巣のなかに赤児が泣いているのであった。あたかもそこ....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
思う存分あたしの上に使ってね。使って見せてね」 髪の薄い夫はよしよしといった。
樟脳とナフタリンの匂いのするスカートと花模様の袂がごちゃごちゃに玄関で賑わって六....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
きます。湖水の岸には橄欖の林あり、瑠璃鳥はその枝に囀る。林の奥に森あり、香り強き
樟脳は群れて繁り、繁みの陰には国の人々珍しき祭を執り行う。ああその祭たるや筆にも....
「妖怪学一斑」より 著者:井上円了
に、マジナイの一種で、食い合わせ法というものがあります。例えば、河豚にあたれば、
樟脳の粉を湯に溶解してこれをのみ、吐血をなせば、串柿を黒焼きにし、これを粉にして....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
たその第一着手に、先ず欧化劇の本舞台として建設したのが即ち鹿鳴館である。今でこそ
樟脳臭いお殿様の溜の間たる華族会館に相応わしい古風な建造物であるが、当時は鹿鳴館....
「書を愛して書を持たず」より 著者:小川未明
求めた人は愛玩し、また、古本となって、露店へ出ても、買った人は大事にして、本箱に
樟脳をいれたりして、永久に保存したでありましょう。この場合、他の骨董品と同じく、....
「雨」より 著者:織田作之助
調子で半時間も喋り立てた揚句、水原紀代子に関する二三の知識を得た。大軌電車沿線、
樟蔭女学校の生徒であると知ったので、その日の午後の授業をサボって上本町六丁目の大....