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権幕
「権幕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
権幕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
せん。」
それは内気な彼女には珍らしい棘《とげ》のある言葉だった。武夫はお芳の
権幕に驚き、今度は彼自身泣きながら、お鈴のいる茶の間へ逃げこもった。するとお鈴も....
「冬」より 著者:芥川竜之介
たまま、演説でもしているように話しつづけた。それは実際常談さえうっかり言われない
権幕《けんまく》に違いなかった。
「おまけに予審判事《よしんはんじ》を怒《おこ》....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
けうま》をとり直しますと、
「まだ雑言《ぞうごん》をやめ居らぬか。」と、恐ろしい
権幕《けんまく》で罵りながら、矢庭《やにわ》に沙門《しゃもん》へとびかかりました....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
のおとなしい上等兵が、この時だけはどう云う訣《わけ》か、急に噛《か》みつきそうな
権幕《けんまく》を見せた。そうして酒臭い相手の顔へ、悪辣《あくらつ》な返答を抛《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ました。そこな人も凄じい。お敏を隠した発頭人。まずこいつをとっちめて、――と云う
権幕でしたから、新蔵はずいと上りざまに、夏外套を脱ぎ捨てると、思わず止めようとし....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
の意地の悪い心に落ちないことがあると、意張りたがるお客が家の者にがなりつくような
権幕であった。 お君というその姪、すなわち、そこの娘も、年は十六だが、叔母に似....
「脳の中の麗人」より 著者:海野十三
んでも、いやだといったら、彼矢部は一体どうするつもりだろうか。 暴力か? あの
権幕では、腕ずくで、持ってゆくかもしれない。暴力ならば、たとえ金がなくても実行が....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
誰か日本語の分かる者はいないのか。ニッポン、日本だぞ」 杉田二等水兵のはげしい
権幕に恐れてか、中国人ボーイは一人立ち二人立ちして、だんだん杉田の前に集ってきた....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ほど拾いあつめるんだ――」 杜は手をふって、お千に命令を下した。 お千は杜の
権幕に愕いて、命令に服従した。そして邸跡にトタン板を探しはじめた。 「オイ、早く....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
れ位の願いが許されないとあっては、俺にも料簡がござります……。』 数間の爺やの
権幕と言ったら大へんなものでした。 そこでとうとう私から指導役のお爺さんにお話....
「『十八時の音楽浴』の作者の言葉」より 著者:海野十三
作家にはこっちからお断りします」などと、当初原稿料をねぎったことも忘れて、大変な
権幕で返事をよこす。そこで原稿を書かないですむようになる。この方が、さばさばして....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
との開戦に至らざるは請合いなりとて頻りに拒絶論を唱えたれども、幕府の当局者は彼の
権幕に恐怖して直に償金を払い渡したり。 この時、更らに奇怪なりしは仏国公使の挙....
「おびとき」より 著者:犬田卯
うな能なし畜生ならはア、出て行け! さっさとこの家から出て失せろ……」 女房の
権幕に作造はやおら起ち上った。村の下に展がっている沼を見ると、女房とは反対に、い....
「仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
ないではなかったが、言い出したが最後、今度は肋骨の一本ぐらいは折られそうな一同の
権幕に恐れをなして、唯下唇をブルブルふるわせるばかりで、すごすごと退場しなければ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
に残った女|連は気絶たかも分らない。お夏さんはお夏さんで、雛を大切に取出しそうな
権幕だったが、火急にも何にも内裏様|一個抱く時分にゃあ、火の粉を被んなすったに違....