横っ飛び[語句情報] »
横っ飛び
「横っ飛び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
横っ飛びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「もの思う葦」より 著者:太宰治
同棲、以来、七年目。 阿部次郎のエッセイの中に、小さい蟹が自分のうちの台所で、
横っ飛びに飛んだ。蟹も飛べるのか、そう思ったら、涙が出たという文章があった。あそ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
じ》。 「あ痛えッ」 がんりきは、斬り落された切口を左の手で着物の上から押えて
横っ飛び。 「狂人《きちがい》に刃物とはこれだ、手が利いているだけに危なくって寄....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
二 米友は例の通り跛足《びっこ》を引いて、杖《つえ》をついて、
横っ飛びにこの河原まで駈けて来て、 「通してくれ、通してくれ、俺《おい》らが悪い....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
」
と書かれた道標の文字、そんなものも眼中には入らず、ただ、あられもない方へ、
横っ飛びに飛んで米友が走りました。
横っ飛びに飛んでも、到底人間の至りつくすと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のではあるけれども、がんどうの方は飛んだところへ行って留まったが、がんりきの方は
横っ飛びに飛んだまま、街道の道へ出ると、一層の速度を加えて、無二無三に走りました....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
野郎の頬っぺたに押しつけたものだから、百の野郎が、
「あ、つ、つ、つ」
と言って
横っ飛びに飛び上りました。
五十三
同じ胆吹山麓圏内の西....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
石や、木や、竹切れが、雨霰《あめあられ》と降って来ました。 それと見るや米友は
横っ飛びに飛んで、三仏堂の縁の上へ飛び上ったかと思うと、扉を押して堂の中へ身を隠....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
へ出る。ますますいけない。引返そうとすればさいぜんのが追いかけて来る。ままよ――
横っ飛びに飛んで、侍町の生垣《いけがき》の下を鼠のように走ると、御用の声を聞き伝....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、蟻《あり》の性急な活動を、歩きながら踊ってるように見える足長|蜘蛛《ぐも》を、
横っ飛びに跳《は》ね回る蝗《いなご》を、重々しいしかもせかせかした甲虫《かぶとむ....
「ひでり狐」より 著者:豊島与志雄
の上に飛び上がりざま、狐に飛びかかっていきました。と、狐はひらりと身をかわして、
横っ飛びに森の中へ逃げていって、見えなくなってしまいました。 徳兵衛はしばらく....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
の立っているところへ来た。
「冷汗をかくぜ、爺さん。東小路中納言だなんて、俺あ、
横っ飛びに、逃げ出したよ」
「あはははは、今夜、久し振りに、一席叩いてこまそ。三....
「春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
』 『ありがたい。うそではありませんな』 『わしは、二枚舌は使わん』 三木は、
横っ飛びに自分の選挙事務所へ飛んで帰った。もう、夕暮れである。参謀の者を集めて伯....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
。 若者はお内儀の手をはなすと、お突きを喰らったはずみで、たじたじと二あしほど
横っ飛びにすっ飛んだ。 「そら見たことかい、それでやっとお前さんにも、女の底力が....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
だであろう。クルクルと廻って流れて行く。私は夢中になってこっち岸の岩を三つ四つ、
横っ飛びに、下流の方へ走った。手をのばして、流れて行く人の手だか足だかをつかまえ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
|千軒、名の出たところ、 コラサッと、この時、笊を前のめりに、ひょろひょろと、
横っ飛びに蹌けかかった黒んぼがある。此奴の面の黒いこと、鍋墨と墨汁とを引っ掻き交....