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「横着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

横着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
六日の午後四時頃、僕の乗っていた※江丸《げんこうまる》は長沙《ちょうさ》の桟橋へ横着けになった。 僕はその何分か前に甲板の欄干《らんかん》へ凭《よ》りかかった....
星座」より 著者:有島武郎
の家の様子は見ているくせに、箒《ほうき》一つ取るでもなく、家いっぱいにひろがって横着をきめている始末だ。学問ができるのなんのって人がちやほやするのを真《ま》に受....
去年」より 著者:伊藤左千夫
てる者に対して、国家が知らぬふうをしているという法はない。子どもを育てないやつが横着の仕得をしてるという法もない。これはどうしても国家が育児に関する何らかの制度....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
つい疲れてときどき居眠りをするようですし、変な噂はたつし、それに、今夜はわたしの横着娘が少しばかり加減が悪いので、それやこれやで、どうも思うように熟睡出来ません....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
のはみんな喰べて、滋養にして、私は逞ましい魚にならなければならない。小初はぐっと横着な気持になって、化粧の出来上った顔に電球を持ち添えて 「これでは、どう」と窓....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
に詰め込んだという座席の客は、いずれもこの悪魔的の感興の時間に殉ずる一種の覚悟と横着とを唇の辺にたたえ、その気分の影響は、広間全体をどっしりと重いものに見せて来....
春昼」より 著者:泉鏡花
さら、観音でもあるまいと言うようなお考えだから不可んのです。 近頃は爺婆の方が横着で、嫁をいじめる口叱言を、お念仏で句読を切ったり、膚脱で鰻の串を横銜えで題目....
獄中記」より 著者:大杉栄
て目を覚ますと、僕は自分のそばに畳んである布団の上に半身を横たえて寝ていた。 「横着な奴だ。はいる早々もう真っ昼間から寝たりなんぞしやがって、貴様は監獄の規則な....
少年探偵長」より 著者:海野十三
である。博士はくやしくてならなかった。腕組をして考えこんだとき、 「手をあげろ。横着者め」と、はげしい叱り声が、入口の方からひびいた。いつの間にか黄竜の幕をかき....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
リーの前から警戒監視すべきが当然だ。しかるに貴様は骨を惜んで田端駅で待っていた。横着者《おうちゃくもの》め。そして博士が到着しないと分ると、そこで初めて目黒へ駆....
暗号音盤事件」より 著者:海野十三
すこぶる興味ある話を、べらべらと喋り出すのであった。このへんは、大体のところ彼の横着から来ているのであるが、又一つには、初手から私を無駄に心配させまいとしての友....
黒百合」より 著者:泉鏡花
車夫は呼交わしてそのまま曳出す。米は前へ駆抜けて、初音はこの時にこそ聞えたれ。横着にした、楫棒を越えて、前なるがまず下りると、石滝|界隈へ珍しい白芙蓉の花一輪....
歯車」より 著者:芥川竜之介
・コオトを着た幽霊だって云うんです」 自動車はラッパを鳴らしながら、或停車場へ横着けになった。僕は或理髪店の主人に別れ、停車場の中へはいって行った。すると果し....
迷信解」より 著者:井上円了
。要するに、人が家相によりて災難を免れ、幸福を得たいとの望みを起こすのが、すでに横着の考えより出ておる。けだし、人生には吉事もあれば凶事もありて、いかなる王公貴....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
幸福を羨みたい気さえ起していた。 両国橋をくぐって来た川蒸汽はやっと浮き桟橋へ横着けになった。「隅田丸三十号」(?)――僕は或はこの小蒸汽に何度も前に乗ってい....