機械油[語句情報] » 機械油

「機械油〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

機械油の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
者にとって、むしろ快い楽園《らくえん》であった。焼け鉄の酸《す》っぱい匂いにも、機械油の腐りかかった悪臭にも、僕は甘美《かんび》な興奮を唆《そそ》られるのであっ....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
号を深々と呑み込んだドス黒い海が、機関車の断末魔の吐息に泡立ちながら、七色に輝く機械油を、当もなく広々と漂わしていた。 (「新青年」昭和九年一月号)....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
打たれたまま夜の櫟林にとまってしまった。 私は何かせっぱつまったものを感じた。機械油くさい松さんの菜っぱ服をみていると、私はおかしくもない笑いがこみ上げて来て....
オンチ」より 著者:夢野久作
観であった。近まわりの工場の連中がワイワイ取巻いて見ているうちに、お釜帽を冠った機械油だらけの職工が、板片の上に小石を二つ三つ並べて、腰元らしく尻を振り振り登場....
ジャーナリズム雑感」より 著者:寺田寅彦
世界に氾濫するのも当然だという気がしないではいられなかった。あまり感心したために機械油でぬらぬらする階段ですべってころんで白い夏服を台無しにしたことであった。 ....
カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
面には表側と同じ様に、深い擦過傷が所々に喰い込み、労働服の背中にはまだ柔い黒色の機械油が、引き裂かれた上着の下のジャケットの辺りまで、引っこすった様にべっとりと....
石油の都バクーへ」より 著者:宮本百合子
動車は速力を落して進んだ。黒石油だけが湧き出す油田というのを見た。主として重油、機械油、リグロイン(?)等を精製するのだそうであるが、その露天泉を眺めた時、自分....
怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
「炭水はあるかね」 「あります。この三ヶ月、一塊の石炭も使わなかったので□」 「機械油は?」 「それも十分です」 「ではひとつ、心臓の手入れをしてみようか」老博....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
車は雨に打たれたまゝ夜の櫟林に転がってしまった。 私は男の息苦るしさを感じた。機械油くさい葉っぱ服に押されると、私はおかしくもない笑いがこみ上げて来た。 十....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
見た。労働に疲れ雨にうたれて渋を塗ったような見苦しい私の掌には、ランプの油煙と、機械油とが染み込んでいかにも見苦しい、こんな穢い手で私は高谷さんの絵葉書を持った....
晩春」より 著者:岡本かの子
、哀なものだと考えたりする。 今日もまた、堀の水が半濁りに濁って、表面には薄く機械油が膜を張り、そこに午後の陽の光線が七彩の色を明滅させている。それに視線を奪....