櫓声[語句情報] »
櫓声
「櫓声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
櫓声の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
かに島があります。舟津から一里あまりでござります」 人里を離れてキィーキィーの
櫓声がひときわ耳にたつ。舟津の森もぼうっと霧につつまれてしまった。忠実な老爺は予....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
余等は導かれて紅葉館の旗を艫に立てた小舟に乗った。宿引は一礼して去り、船頭は軋と
櫓声を立てゝ漕ぎ出す。
黄金色に藻の花の咲く入江を出ると、広々とした沼の面、絶....
「取舵」より 著者:泉鏡花
積まむために立寄りたるなり。 来るか、来るかと浜に出て見れば、浜の松風音ばかり。
櫓声に和して高らかに唱連れて、越中|米を満載したる五六|艘の船は漕寄せたり。 ....
「仙人掌の花」より 著者:山本禾太郎
て、対岸の灯が光を増すのであった。 陽が、とっぷりと暮れる。芦の葉ずれ、にぶい
櫓声、柔かな砂土を踏むフェルト草履の感じ、それらのすべては、病を養う閑枝にとって....
「妖影」より 著者:田中貢太郎
ぐ近くの防波堤の上にあった魚市場へ往った。もう夕陽に彩られた沖のほうから、勇しい
櫓声がして、吾れさきにと帰って来た漁船からは、魚を眼まぐろしくあげて、それを魚市....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ちに乗るやいな、両舷の水夫へ、 「行け」 と、命じた。 六挺の櫓は、ただちに
櫓声を揃えて波を切った。――播磨灘を西南へ、潮流にも乗せて、その舟影は、みるまに....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
の松へさしかかっておりますよ。そろそろお上がりの支度をなさいませ」 阿能十は、
櫓声のあいだに、そんなひとりごとをいって、独りふざけちらしている。 舟の着く所....