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櫨
「櫨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
櫨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
谷に添うて、辿った。 筑紫の秋は、駅路の宿《とま》りごとに更けて、雑木の森には
櫨《はじ》赤く爛《ただ》れ、野には稲黄色く稔り、農家の軒には、この辺の名物の柿が....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
魚の腹中にある約拿を図案化したコプト織の敷物が敷かれ、その部分の床は、色大理石と
櫨の木片を交互に組んだ車輪模様の切嵌。そこを挾んで、両辺の床から壁にかけ胡桃と樫....
「小春」より 著者:国木田独歩
るままに十一月三日の記から読みだした。 『野を散歩す日暖かにして小春の季節なり。
櫨紅葉は半ば散りて半ば枝に残りたる、風吹くごとに閃めき飛ぶ。海近き河口に至る。潮....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
を吐いたが、結局、構うもんか、もしあいつが何とか言ったら、去年あいつが陸へ上って
櫨の枯木を持って行ったからそれを返せと言ってやるんだ。そうして眼の前で、八の禿頭....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
釣り場所は大抵心得ているから、堤の芒をかきわけて適当なところに陣取って、向う岸の
櫨の並木が夕日にいろどられているのを眺めながら、悠々と糸を垂れはじめた。 前置....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
うな、喬木が鬱々蒼々と繁って、日の光など通そうとはしない。そうかと思うと茨だの、
櫨だの、躑躅だの、もちと生えていて、土の色をさえ見せようとしていない。で、ほとん....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
うのを、送りましょうと云うので、連れ立って茶屋を出たのであった。左は湖水、右は榠
櫨畑、その上に月が懸かっていた。諏訪因幡守三万石の城は、石垣高く湖水へ突き出し、....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
) 典膳の首級は、頼母にそう叫ばれると、閉じていた眼を開けた。血が白眼の部分を
櫨の実のように赤く染めていた。だが、その典膳の首級は、例のようにユルユルと廻って....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
いて、源女の方を窺っていた。 彼女の頭上にあるものといえば、樺や、柏や、櫟や、
櫨などの、灌木や喬木の枝や葉であり、それらに取り縋り巻いている、山葡萄や蔦や葛で....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
其処らしい場所へは行き着かなかった。人家のまばらな田舎道のところどころに、大きい
櫨の木が月のひかりを浴びて白く立っているばかりで、川らしい水明かりは見当らなかっ....
「馬妖記」より 著者:岡本綺堂
て来るらしいというのを頼りに、二人は多々良川に近いところに陣取って、一本の大きい
櫨の木を小楯に忍んでいると、やがて一|刻も過ぎたかと思われる頃に、どこからか大き....
「文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
この炭焼き男に一夜の宿を乞うたのでありますが、その男が炭俵を編むのに使っている帙
櫨は、黄金の塊だったのであります。そこでお姫さまが(これは黄金と言って貴重なもの....
「赤坂城の謀略」より 著者:国枝史郎
と思うようになった。 四 天王寺の陣を引いた正成は、数里はなれた
櫨子原に、幔幕ばかりの陣を張り、悠々と機をうかがっていた。 或夜|正遠と定仏と....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
を煩わされるのは卑しい――そんなことを考えつつ、今は葉が落ちつくして裸になった、
櫨の木のたくさん両側に並んでいる堤の上を俥で帰りました。 わずかに芽の出た麦畑....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
のである。 夕山風が古葉をふるわして樹々の間を掠めてくる。落つるに早い楓、朴、
櫨の類は、既に赤裸々の姿をして夕空寒く突き立って見える。彼の蘇子瞻の「霜露既降木....