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欲情
「欲情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
欲情の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
ラチラと流すと、やがて車は四条小橋から木屋町へ折れた――その途端、銀造ははげしい
欲情を感じた。 引揚者のわびしさも、脱走者の焦燥も、貴子への恨みも恥も外聞も忘....
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
思った。「しかし、今の自分の眼の前でそんな窓が開いていたら、自分はあの男のような
欲情を感じるよりも、むしろもののあわれと言った感情をそのなかに感じるのではなかろ....
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
問も別にない人であった、それだけれどもこの人は己のすべての浪費を節して、すべての
欲情を去って、まるで己の力だけにたよって、この教会を造ったものである。……こうい....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
剣客をも縮み上がらす威嚇となり、それゆえにある時はまた、たわれ女《め》に悩ましい
欲情を唆《そそ》り湧かしめるあの凄艶無比《そうえんむひ》な三日月形の疵痕を、白く....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
い光が瞬《またた》いた。すると、鼻翼《こばな》が卑しそうに蠢《うごめ》いて、その
欲情めいた衝動が、渦のような波動を巻いて、全身に拡がっていった。 「そして貴方、....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
むす子を残して、なおも、この都とのつながりを取りとめて置く。そんな遣瀬ない親達の
欲情も手伝って、むす子は巴里に残された。 「お母さん、とうとう巴里に来ましたね」....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
する感情は、老人が、自分の孫にあたるような幼い娘を、老後の断ち切ることの出来ない
欲情から愛ずる。――そういう気持になるかと思うと、ええい、恋のへちまのと、上品ぶ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
恩と謝徳とをもってする。これを信心と言う。自分の身に利得を求めようとするのは、皆
欲情である。報恩謝徳の厚志があらば、神明の加護もあろう。仏といえども、道理に違う....
「野狐」より 著者:田中英光
金を作り、ふたりで酒をのみ、肉鍋をつついて、楽しく遊んだ。一月もむなしかった私の
欲情も、その夜から執拗なものになった。さすがの桂子も痛がって、それを厭がるほどだ....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
一生懸命な、貪欲な、落ち着きのない動きがあった。そして、それは彼の心に根を張った
欲情について語ると共に、だんだん成長するその木(
欲情の木)の影がやがて落ちそうな....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
のを免れない。ヒルデブラントの道徳的価値盲の説のように、人間の傲慢、懶惰、偏執、
欲情、麻痺、自敬の欠乏等によって真の道徳的真理を見る目が覆われているからだ。倫理....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ったのじゃ」 そう言いながら、自分の唇に、濡れた相手の腋毛を、しごきたいような
欲情に駆られ、横蔵はぶるると身を震わした。 「言うまでもありませんわ。あの軍船、....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
あてがあるのは、あんただけだった。無情な、心ない創造者! あんたはわたしに知覚と
欲情を与えておきながら、人間の軽蔑と恐怖の的として突き放してしまった。しかし、あ....
「城」より 著者:カフカフランツ
なかったろう。それでも彼は今やしばらく眼をおおわないではいられなかった。そんなに
欲情をこめて彼女を見つめていたのだった。
「明りなんかつけておくことはないわ」と....