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歓び
「歓び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歓びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
風薬の金看板なぞ見える小さな町だが、今までの寒山枯木に対して、血の通う人間に逢う
歓びは覚える。 風が鳴っている三上山の麓《ふもと》を車行して、水無口から石部の....
「家霊」より 著者:岡本かの子
い泛《うか》べた。老人の打ち卸す発矢《はっし》とした勢いには、破壊の憎みと創造の
歓びとが一つになって絶叫しているようである。その速力には悪魔のものか善神のものか....
「鮨」より 著者:岡本かの子
じめて、生きているものを噛み殺したような征服と新鮮を感じ、あたりを広く見廻したい
歓びを感じた。むずむずする両方の脇腹を、同じような
歓びで、じっとしていられない手....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
善くなるばかりであろうという堅い希望を抱いても差支えはないであろう。 げに大なる
歓びなれや、 世々の精神に我を移し置きて、 昔の賢人の考察の跡を尋ねみて、 かく....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
て自由で、柔軟で、緻密な液体に愛撫され始めると何もかも忘れ去って、小初は「海豚の
歓び」を
歓び始める。小初の女学校時代からのたった一人の親友、女流文学者豊村女史に....
「食魔」より 著者:岡本かの子
故に、お互いに吐き合う気焔も圧迫感を伴わなかった。飄々とカンぎ取る利益も彼等には
歓びであった。鼈四郎が東洋趣味の幽玄を高嘯するに対し、檜垣の主人は西洋趣味の生々....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
動いた。 「……分りました。千早館の入口が……」 帆村は望遠鏡から目を放して、
歓びの色を隠そうともしなかった。 「今、ねえ、たしか田鶴子と思われる女が外から戻....
「転機」より 著者:伊藤野枝
手よりは、もっと意味深いものであった。やっとのことで私の夢想は、悲しみと苦しみと
歓びのごちゃごちゃになった、私の感情の混乱の中に実現された。私は彼の生涯の仕事の....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
にこしながら『なかなか念の入った道中姿じゃナ。乙姫様もこれを御覧なされたらさぞお
歓びになられるであろう。俺などはいつも一|張羅じゃ……。』 そんな軽口をきかれ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
。况んやこの全能の神が、天界の玉座に鎮まりて、選ばれたる者どもの恭敬に浸ることを
歓び、失われたる者どもの、苦悩を見物することを楽しみとするようなことのある筈もな....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
と部屋の中を歩きまわった。僕の誇大|妄想はこう云う時に最も著しかった。僕は野蛮な
歓びの中に僕には両親もなければ妻子もない、唯僕のペンから流れ出した命だけあると云....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
と至り、公使館の前では馬によって塵が舞い上がる。音楽の演奏もすでに終わっているが
歓びの宴はまだ果てず、十三夜の月はこのよい日を照らしている。) 当日の食品中、....
「広告」より 著者:伊丹万作
私は自分の期待の満される日があまりにも間近に迫つて来ていることを知つて驚きもし、
歓びもした。 私は中村の著書の中に、子規以来始めて「俳句」を見た。 もつと遠....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
びの巷に、今更パッショネートなものを見出すべくも無い。寧ろ梅子の側に居る時くらい
歓びを感じるときは無い。それでいて梅子とは何一つしみじみした話をすることも無いの....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
共に濠々と立つ白煙を舐め尽して終う。人の輪が少し後ろへ下って、各々の顔に束の間の
歓びの情が溢れて見える。 知らず知らず時が過ぎ去って、樹間を立ち騰る薄煙のあた....