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歓ぶ
「歓ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歓ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
乍ら、かの女は暫く興醒めた悲しい気持でいた。すると何処かで、「メー」と山羊が風を
歓ぶように鳴いた。 さっきから、かの女の瞳を揶揄するように陽の反射の斑点が、マ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
程の顎尖から、丸い顔の半へかけて、人をたばかって、人は寧ろそのたばかられることを
歓ぶような、上質の蠱惑の影が控目にさし覗いている。澄していても何となく微笑の俤が....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
る者でもなく、又仕ようとて出来るものでもない。故《ゆえ》に一方《かたかた》の心が
歓ぶ時には他方《かたかた》の心も共に歓び、一方《かたかた》の心が悲しむ時には他方....
「今日の生活と文化の問題」より 著者:宮本百合子
化という字をつけて文化竈と呼ぶようなものである。私たち人間の自然な心には、成長を
歓ぶ心、進歩を求める欲求が深く潜んでいて、文化という表現に人々が我知らず籠めてい....
「二つの家を繋ぐ回想」より 著者:宮本百合子
、活々と目に現れた。その団欒の裡から、あの、真に物を遣れる者を持つ悦ばしさ、共に
歓ぶ嬉しさを味う歳末の夜から、自分がのけられ、小さい唯三人限りの家で、ひっそりと....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
事情を知って居る私には、あの美しいお顔の何所やらに潜む、一|種の寂しさ……新婚を
歓ぶというよりか、寧しろつらい運命に、仕方なしに服従していると言ったような、やる....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
の中に、静かに手厚く慰める者の有る事は決して無駄には成らないと※子は思って居た。
歓ぶ者の前に其の
歓ぶ者を悲しむ者が居るのは痛ましい事だ。 ※子は二つ年上の「娘....
「無題」より 著者:宮本百合子
まで走ろうとしても、祖国の地面は、尚も、尚も、私の足跡を印させるだろう、私は此を
歓ぶ。けれども、怖ろしい。涙が出るほど恐ろしい。おお! 我が祖国よ! 祖国を縦....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
そして、悪の欲望がみたされ、刺激され、生の愛着がぎりぎりまでおびやかされたので、
歓ぶと同時に恐れおののきながら、その暴行の場所から逃げ出した。私はソホーの家に駆....
「作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
かしい」とフランボーが苦笑いをしながら相槌をうった。クレーヴン探偵は突然赤ん坊の
歓ぶような大きな声、話声と歓声とを一しょにしたような声でこういった。 「実際何だ....
「日記」より 著者:宮本百合子
も、人道主義も、生産主義も――いかにもロシヤ人らしいロシヤ人の描かれてあることを
歓ぶ。 七月十一日(水曜) 風がそよりともなかった午前は、まるで蒸されそうな暑....
「日記」より 著者:宮本百合子
此那心持は、母になったのかと云う疑を持った時、誰でも持つものだろうか、それを待ち
歓ぶ人には、喜びの音ずれだろうが自分には仮令一瞬でも地獄だ。 二月十七日(金曜)....
「日記」より 著者:宮本百合子
なれたらどうしようと。――自分が困るより、唯一度ほか持てない親に、心から相ともに
歓ぶ経験を与えなかったと云う自覚は、辛いことだ。Parting Hour と云う....
「三国志」より 著者:吉川英治
違ない。義軍の精神は疑われ、長安へ落ちた董卓軍は、それ見たことか、と、手を打って
歓ぶにちがいない。 「まあ、まあ、ここは」 「孫堅も、あれまでに、身の潔白を云い....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
うだ」 「田舎者ですから、長浜へ移りましてからは、ただもう吃驚しております。さぞ
歓ぶかと思いましたが、さほどでもなく、少し迷惑そうな顔して、暮しておりまする。そ....