此の上[語句情報] » 此の上

「此の上〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此の上の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
くたびに、外記の方からも常に十吉の安否をたずねてくれた。それがまたお時に取っては此の上もない有難いことのように思われていた。 ことしは外記が二十五の春である。....
守の家」より 著者:伊藤左千夫
お松も家を出て来る時には、一晩泊るつもりで来たものの、来て見ての様子で見ると、此の上一晩泊ったら、愈《いよいよ》別れにくくなると気づいて、おそくも帰ろうとした....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の壁と温度の相違が、散逸を防ぐからなのです、ですから、昨夜の濃霧は、犯人にとると此の上もない好機だったのですが膜嚢が破れて飛び出した砒化水素は、炸裂に際して起る....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
居て好くは開かぬ。夫に最も夕刻だから大した明りは射さぬ。何処に其の寝台が有るか、此の上の時計の裏へは何して登られるかと、静かに透す様にして室の中を見て居ると、一....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
服|喫《す》いはじめた。 五 ともかく藤助一家の様子を見届けて、もう此の上に詮議の仕様もないと思い切った長三郎は、源蔵を眼でうながして行きかかると、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
世間からはうしろ指をさされ、親たちには苦労をかけ、こんな間違ったことはない。もう此の上は誰がなんと云っても、決してそんな相談には乗らないつもりだ。お通という女中....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
さきに浮かんでいるように顔をしかめてささやいた。 半七は黙って聴いていた。もう此の上に詮議もないらしいので、今夜はこれだけにして長左衛門に別れた。勿論、二度と....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
せです。参謀長は、あらゆる報告に、一応目をとおす職責がございます」 「ウム」 「此の上は、速かに解除警報の御許可を、お与え下さい。市民は、軍部の、正しいアナウン....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
蔭だ、殊にあなたがお手引をなすって、お國源次郎を討たせて下さると仰しゃッたから、此の上もない有難いことと喜んでおりました、それを今晩になってお前には縁がない、越....
極楽」より 著者:菊池寛
である。万人の免れない臨終の苦悶をさえ、彼女は十分味わずに済んだ。死に方としては此の上の死に方はなかった。死んで行くおかん自身でさえ、段々消えて行く、狭霧のよう....
「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
居られたのだろうか、とうとうなびいておしまいになったので、少将は大変によろこんで此の上なく可愛らしいものに思って愛して居らっしゃったけれ共、程なく又内裏から召さ....
元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
どだ。それだのに母親の目から見れば昔の伊勢小町紫の抱帯、前から見ても後から見ても此の上ない様子だと思ってホクホク物で居るのも可笑しい。これでさえもこれほどなんだ....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
蓮如『そなたに限って大事ない。安心して唱えやれ』 おくみ『やれ有難や忝けなや。此の上はどんな辛い奉公も、苦しい勤めも辛抱いたします。※忘れまいぞやあのことを。....
」より 著者:岡本かの子
。 ――まだ踵いて来るの。私、直ぐ帰るから、先へお帰りよ。 ――はい。 お民は此の上|逆おうとはしないで、少し引き返したところの狭い横丁へ、いつものように隠れ....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
んぞ」 政「へえ、誠にどうとか致そうと存じまして、種々心配致して居りまするので、此の上ともまた何の様な詮議も致しまして、お刀を見出して、お屋敷へ持参致す心得でご....