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「此頃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此頃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
連絡船の中で、夢野久作の正体を発見したのである。 「オオ、ジッちゃんじゃないか、此頃あたしゃ、こげえなこと、しよりますやなァ」と、額から鼻、鼻から頤まで暫くある....
姪子」より 著者:伊藤左千夫
白らげ麦や金時大角豆などが庭一面に拡げて隙間もなく干してある、一目見てお町が家も此頃は都合がえいなと思うと、おれもおのずと気も引立って、ちっと手伝おうかと声をか....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
分は巴黎の「リブレール・ド・ボザール」や「デューシエ」や独逸の「ヘスリンク」から此頃新着したばかりのもので、各種の図案粧飾、又は名画彫塑の複製帖等、何れも精巧鮮....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
みながら静かに傾聴されましたが、私の言葉が終ると、低い声で軽々と笑って、 「君は此頃ちと神経衰弱のようだよ。若い身空で、そんな小さいことをくよくよ心配していると....
新学期行進曲」より 著者:海野十三
うだと、こう申しますので、お先に寝かしてやりました。 父親 おおそうかい。道夫も此頃受験準備で、可哀想な位つかれているね。すぐ寝かしてやったとは、お前にしちゃ大....
雪魔」より 著者:海野十三
は、仲よしの五助のことを尋ねた。 「ああ五助ちゃんか。五助ちゃんは元気らしいが、此頃ちっとも家へ遊びに来ないよ」 「ふうん。僕が居ないからだろう」 「それもある....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
、あいかわらず、人間地下戦車となって、汗みどろに土を掘っていると、 「一郎さん、此頃《このごろ》しきりに土地を掘っているようだが、井戸掘《いどほ》りかね」 と....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
れが如何にも惜しゅうて成らぬ。や、それは又それとしても、義理人情の薄う成り過ぎた此頃、恩師を唯一人のたれ死も同然にさせたと有っては、磯貝竜次郎の一分が立たぬ。師....
勝ずば」より 著者:岡本かの子
に帰られるのを辛がった。彼女の病気に就いての詰問も日毎に執拗くなって来た。それは此頃政枝が死の恐怖に襲われるからである。一度死を図って死に損った政枝は反動的に極....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
。 ――僕、昨日の朝、散歩の序に戸崎夫人の処へ寄って見ましたよ。 ――そう、此頃あの方どうしてらっしゃる? ――相変らず真赤な洋服かなんか着てね、「甲野さ....
決闘場」より 著者:岡本かの子
ルトンは自分自身を飛び廻らせたかった。自分自身を一緒にくっつけてしまいたかった。此頃からジョーンはアイリスを訪ねて逢えない日があった。 ワルトンは過ぎ去った四....
新時代女性問答」より 著者:岡本かの子
するという様に昔の女性は何となく一つの新しいということの憧憬があった。その憧憬が此頃は地べたに踵をつけて来た。 かの子 それは時代が非常に便利になったから何とな....
」より 著者:岡本かの子
たが、やがてすっかり忘られてしまった。 ともよのそうした行為も止んで仕舞った。此頃では、ともよは湊を思い出す度に 「先生は、何処かへ越して、また何処かの鮨屋へ....
荘子」より 著者:岡本かの子
夫をおひいきのあなた様にでもこのようなこと申し難いので御座いますが………実は夫は此頃読書も書きものも殆ど致さなくなりました。先夜なども、今まで読んで居た本が却っ....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
の部屋に居続けなので自然、避けてばかりも居られないので、私が赫子に接触する機会が此頃多くなったわけである。それに馴れると赫子は庭続きに私の部屋の前縁にも時々遊び....