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歩々
「歩々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歩々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
そは、これまで十七年も八年もの長い年月の間、青年から中年に更にまた老年の域へと一
歩々々近づいて行きつつある私の姿を、絶えずじっと凝視して来た無言の観察者であった....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
二丁、三丁、五丁。――豪儀なものです。全山ウチワ太鼓に埋まっていると見えて、一
歩々々と久遠寺の七|堂伽藍が近づくに随い、ドンドンドドンコ、ドドンコドンと、一貫....
「英彦山に登る」より 著者:杉田久女
の前に見えていた遍路たちもいつか木隠れに遠ざかってしまうと、全くの無人境を私は一
歩々々孤りで辿るのである。 前を見ても横を見ても杉の立木ばかり。めまぐるしい文....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
戸物屋の店に出ている日本の Hotei・朝から夕方のような紫の半闇・ゆっくりと一
歩々々を味うようにあるきまわっている北欧哲人のむれ・そして建物の屋根を斜に辷る陽....
「四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
十八銭、米四合、途中も行乞しつつ)、それから久万へ、成川の流れ、山々の雑木紅葉、
歩々の美観、路傍の家のおばあさんからふかし薯をたくさん頂戴した、さっそく朝食とし....
「歩々到着」より 著者:種田山頭火
禅門に「
歩々到着」という言葉がある。それは一歩一歩がそのまま到着であり、一歩は一歩の脱落....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
なかった。社会においては、それらの問題は不均衡なほど大きな地位を占めていて、人は
歩々にそれにぶっつかり、いずれか心を定めなければならないのである。力と愛とにあふ....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
ことから、事情は急に険悪になったのです。宛もそうなるのが運命ででもあるように、一
歩々々破綻へ押し進んでいったのです。そして僕自身は、余りにうっかりしていました。....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
薫陶《くんとう》を受けたる門人の明治に残りしもの相前後して不帰の客となるに従ひ一
歩々々滅亡の期を早めたり。明治の浮世絵は実に北斎国芳国貞らが制作の余勢に外《ほか....
「淫売婦」より 著者:葉山嘉樹
りつけられた後のように、頭や、手足の関節が痛かった。 私はそろそろ近づいた。一
歩々々臭気が甚《はなはだ》しく鼻を打った。矢っ張りそれは死体だった。そして極《き....
「魔都」より 著者:久生十蘭
恐怖に襲われる。
真名古がやって来たのだ。総監の逮捕状を懐中にして、真名古が一
歩々々こちらへ近づいて来る。
総監は手に帽子を持ったまま棒立ちになっていたが、....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
人を容るること能わざれば人もまたこれを容れず、彼も一歩を退け我もまた一歩を退け、
歩々相遠ざかりてついに異類の者のごとくなり、後には讐敵《しゅうてき》のごとくなり....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
いたす」
「ではお聞き下さい」
阿賀妻は腰かけをずり寄せた。足許を踏みしめて一
歩々々せまるように悠然と、袱紗《ふくさ》さばきの音も見せず書類を取りだし、ひろげ....
「胎内」より 著者:三好十郎
かんないけど――。いろんなことがあるのよ、人間が歩いて行ってると。ホント。……一
歩々々は、ただなんの気もなく歩いてる。道がどんなふうに曲ってるか、あがってるか、....
「俳優への手紙」より 著者:三好十郎
つの全体として、より健全に仕事がして行ける――即ち芸術面でも経営面でも無理なく一
歩々々とより高い方へ近づいて行ける事だからだ。言うまでも無く、その様な歩みは非常....