歩き回る[語句情報] »
歩き回る
「歩き回る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歩き回るの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
りやったりする音と、鋲釘《びょうくぎ》を打ちつけた靴《くつ》で甲板《かんぱん》を
歩き回る音とが入り乱れて、頭の上はさながら火事場のような騒ぎだった。泣いて泣いて....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
クスはたちまち顔色を火のように変え、拳を揚げて卓をたたくやら、椅子を離れて大股に
歩き回るやらしたあとで、口から沫を飛ばして言うことには、条約許容とは何事であるか....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
「いよいよ会所もおなごりですね。」 そう語り合う二人は、明け渡した城あとでも
歩き回るように、がらんとした問屋場の方をのぞきに行った。会所の方の店座敷の戸をも....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
しく頼むとの意味を通わせた。 「まずまあ、これで安心した。」と言って下座敷の内を
歩き回るのは多吉だ。「お隅、おれは青山さんを連れて風呂に行って来る。金丸先生には....
「嵐」より 著者:島崎藤村
の短い上着のまま、早い桃の実の色した素足を脛のあたりまであらわしながら、茶の間を
歩き回るなぞも、今までの私の家には見られなかった図だ。 この娘がぱったり洋服を....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
っていた。 彼の慰安は、叔父《おじ》のゴットフリートが土地にいる時、いっしょに
歩き回ることだった。彼はますます叔父に接近していって、その何物にもとらわれない気....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
く来た借家人たちがその部屋《へや》へ上った後、彼女は自分の室にただ一人で、彼らの
歩き回る足音を頭の上に聞いた。その足音は彼女のうちに愉快な響きを伝えた。家じゅう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
とだったろう！ オリヴィエは彼女を散歩に連れ出したがった。彼女も彼といっしょに
歩き回るのは愉快だったろう。しかし幾度も、元気に出かけたあとで、二十分間もたつと....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
涯にも、人々の尊敬や名誉や自由にも、別れを告げなければならないだろう。もはや野を
歩き回ることもないだろう。五月にさえずる鳥の声をきくこともないだろう。子供らに物....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、獣の姿があり、またおそらく化け物の姿もあった。彼女はじっと透かし見た。草の中を
歩き回る獣の足音が聞こえた。樹木の間をうろついてる化け物の姿がはっきり見えた。そ....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
たのである。 家来の来るのを待つあいだに、大将は葉巻きをふかしながらあちこちと
歩き回る。見物の顔にかれがたばこのけむりをふっかけるふうといったら、見物であった....
「博物誌」より 著者:岸田国士
ズの鵞鳥はそのままパリへやって来る。 Dindes 彼女は庭の真ん中を気取って
歩き回る。あたかも帝政時代の暮しでもしているようだ。 ほかの鳥たちは、暇さえあ....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
ニャ、あたしほど不仕合せな女はないと、つくづく思うの！ （興奮して舞台をあちこち
歩き回る）あたしには、この世の仕合せなんか似つかないのよ。ええ、似つかないのよ！....